夢と現実いったりきたり

人と神、あるいは怪物のはざまで:ミュージカル『フランケンシュタイン』

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▲2020PV

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▲2020舞台映像版PV

 

あらすじ

19世紀ヨーロッパ。科学者ビクター・フランケンシュタインが戦場でアンリ・デュプレの命を救ったことで、二人は固い友情で結ばれた。“生命創造”に挑むビクターに感銘を受けたアンリは研究を手伝うが、殺人事件に巻き込まれたビクターを救うため、無実の罪で命を落としてしまう。ビクターはアンリを生き返らせようと、アンリの亡き骸に自らの研究の成果を注ぎ込む。しかし誕生したのは、アンリの記憶を失った“怪物”だった。そして“怪物”は自らのおぞましい姿を恨み、ビクターに復讐を誓うのだった…。

 

感想

現時点:1/17マチネ(柿澤・小西)、1/22マチネ(中川・小西)、1/23ソワレ(中川・加藤)

 かきかずはまだ観ていないが、現時点での感想をつらつらと書く。とはいえWキャストと組合せでかなりお芝居が変わってくる演目ゆえに、総括して感想を書くのもなかなか難しい。ので、とりあえずは両アンリとのお芝居を見た&記憶に新しい中川ビクターの解釈を中心に書く。

 

 全体のテーマとしては「生命とはなにか=なぜ生きるのか、生きるとはなんなのか、人間とはなんなのか」というところなんだと思う。それは人類の普遍のテーマであり、戦争の生傷が残る時代なら、なおさら意識されるもの。『フランケンシュタイン』においても、劇中人物それぞれがわからないなりに/わからないからこそ、それらを追い求めていた。中でも最も探究心が強かったのがビクター・フランケンシュタインだった。生命の全てを解き明かす、それがビクターの目的だった。

  

 ビクターは神に近づこうとした、星になろうとしたと言われるけれど、同時に人間であろうともしていたように見えた。♪僕はなぜ?以降、ビクターは常に揺れ動いている。親友・アンリが罪を被って斬首になるというときに、アンリの首=研究の材料が手に入る、という考えが人として許されないことであると分かっているのに振り切れない自分自身に戸惑いつつも、最終的には人としての倫理観をとるビクター。それなのに証言はあっさり却下されてしまう。ただでさえグラグラしてるところに「夢を諦めるな」と背中を押してきたアンリのとれたてほやほやの生首があったらまあやっちゃうよね……。と同情してしまう*1

 

 実験室にアンリ(の首をつなぎあわせた死体)を運び込むシーンはビクターの心理を表しているんじゃないかと思う(実験室が幼少期に住んでいた城だというのも趣深い。ビクターの心は母親を生き返らせようとした20年前から変わっていない)。あの実験室がビクターの心のメタファーだとすると、自分を呼ぶエレンやルンゲの声を強く拒否するのは「人間に揺り戻される」から。せっかく人間をやめて神になろうとしたのに揺り戻されたらたまらない。なんせ心はグラグラなので。結局、怪物は目覚めるものの、手懐けることができず、ルンゲに助けを求める=人間脱出チャレンジは失敗に終わる。ここでビクターは「自分は神になることはできない」と悟って、その後の3年間は人間として生きていくためにめちゃくちゃ頑張ったんだと思う*2。その努力の成果がジュリアとの結婚、エレンとの和解、周囲のひとびとのビクターへの反応に表れている*3

 

 だけど、怪物を殺すことはできず、逃げられてしまったことが示すように、ビクターは神になること……というか、自身の夢を完全に手放すことができなかった。3年という月日が経ってもなお怪物の影に怯えるビクターは、(欲望と怪物というかたちの違いはあれど)自分が生み出したものなのに自分自身で制御できないことへのおそれに支配されているという意味で、♪僕はなぜ?のビクターと重なる。

 

 表面的なものだったかもしれないが、訪れた‘平和な’生活は、怪物にぶち壊されてしまう。怪物はビクターが受ける愛の象徴、ルンゲ・エレン・ジュリアを全員殺す(市長も殺されるけど、どちらかというとエレンを陥れるための装置の意味合いに思える)。さらに、ビクターを突き動かしてきた夢の象徴、実験室も壊してしまう。実験室が壊されるのよりジュリアが殺されるのがあと、というところに、中川ビクターだと納得がいく。中川ビクターはずっとジュリアを愛していたように見えていて、結婚もちゃんと中川ビクターからプロポーズしたんだろうな……と思えるから*4。人間として生きることを選ぶのもジュリアの存在が関わってそう。

 

 全てをうしなったビクターが怪物に殺せ、と懇願するのは、「人間として生きている意味」がなくなったから。人の死に敏感だったビクターが自ら死を望むのは皮肉な話だが、怪物はそれを許さない。死は逃げ場ではない!!!と言い出しそうな勢いの怪物……*5

 

 「殺したければ来い、待っている」という怪物を追って北極までやってきたビクターは怪物を最終的に殺す。怪物を殺すことへの迷いを消したのは他でもない怪物だった。 ビクターは北極到着時点でぼろぼろで、怪物が本気を出せば敵うわけがないのに、怪物はあえてビクターを生かした。ビクターに襲い掛かるのも、ビクターの迷いを消すための行動だったのだろう。ビクターは、自分の名を呼ぶ怪物にアンリの姿を見たはずだ。彼はそのとき何を思ったのか。怪物が言うように、ひとり残されたことへの苦しみか、友をうしなったことへの悲しみか、それともアンリの蘇生に成功したことへの喜びだったのか。解釈を大きく客席に委ねている『フランケンシュタイン』の中でも、ここの解釈は分かれるところだと思う。組み合わせによっても異なるかもしれないし、どの感情と言い切ることはできないかもしれないし。正直わたしの中でも決めかねている。だけど、いまのところ中川ビクターには蘇生成功の喜びが存在しているように思う。よかったね坊ちゃん!

 

 ここまでビクターの話だけしておいてなんなんだけど、わたしの本命はアンリです。アンリ大好き。1幕で死ぬけど。推しキャラ、中盤で退場しがち*6。そんなアンリと柿澤ビクターのこと、役者に関する雑多な感想はまた別で書きます*7

 

 

 

 

*1:そうかな?

*2:えらい

*3:えらい

*4:あんまりWキャストについて相対的な話はしたくないけど、柿澤ビクターだとジュリアへの恋愛感情をあまり感じなくて、なし崩し的に結婚に至ってそう

*5:エリザベート

*6:マーキューシオとかルドルフとか

*7:たぶん……

名曲、「君の夢の中で」(ミュージカル『フランケンシュタイン』)

 ミュージカル『フランケンシュタイン』を観てきました。柿澤・小西ペアです。他ペアも観たくなってチケットを増やしたので、舞台の感想はもう少しろくろを回してから書くつもりなのですが、今日はとりあえず「君の夢の中で」について、他愛もない感想を書き留めさせてください。

 

 「君の夢の中で(原題:너의 꿈 속에서)」はビクター・フランケンシュタインの研究を手伝う彼の“親友”、アンリ・デュプレが1幕のクライマックスで歌い上げる曲です。この曲の美しいこと!「とあるきっかけで人を殺めてしまったビクターの罪を被って斬首刑を言い渡されたアンリが、面会に来たビクターに自分の胸のうちを打ち明けるところからはじまり、最後はギロチンで首を切られて終わる」という、状況だけ見ると酷なシーンのはず……なのですが、最初から最後まで悲惨な音は鳴らないのです。静かに、でも奥底から湧き上がるような、よろこびに溢れている。そんな印象を受けました。

 

 歌詞も実質アンリからビクターへの告白ソングと言っても過言ではない内容に仕上がっていますが、アンリにとってのビクターは「新たな人生を与えてくれたひと」(物理的にも精神的にも)であり、つまりは神さまみたいなものだったのだと思うのです。フランケン的に言うと「創造主」。恋と信仰は相似と言いますが、アンリの場合は信仰の色が強いように思います。「そんな晴れやかに斬首台までの階段をのぼるやつがあるか!!!」と思わず背筋が凍るほど晴れやかに歌い上げてるけど、お前の目にはグズグズになってるビクターが見えてないのか……。

 

 フランケンの中で、どころか、ミュージカルナンバーの中でも屈指の名曲なんじゃないでしょうか。観劇後、取り憑かれたように韓国版のOSTを聴いています。ところでこのOSTには「君の夢の中で」が2種類収録されているのですが、ボーナストラックのハン・チサンver.が本当に素晴らしいです。

 

In Your Dream (Bonus Track)

In Your Dream (Bonus Track)

  • 한지상
  • ミュージカル
  • ¥204

OST収録「君の夢の中で」

▲「君の夢の中で」MV

 

 感情の乗せ方がすごくうまくて、視覚情報がなくてもありありとアンリの心情が伝わってくるような歌声。ミュージカルってこれだよなあということをしみじみと感じさせられました。

 

 歌声だけで感銘を受けた経験は以前にもあって、それはラジオ番組「今日は一日ミュージカル三昧」で『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の「Wig in a box」を歌った柿澤さんに対してでした。WIABを聴いてから、柿澤さんのお芝居を観たいな、と思って(いたもののあらゆるタイミングを逃し続けここまで来てしまったわけですが)今回フランケンを観るに至ったわけで、柿澤さんきっかけでまた美しい曲に出会えたことが、なんらかの巡り合わせだったのだろう、ということにしておきます。

 

Wig In a Box

Wig In a Box

▲「Wig in a box」原曲

 

 そういえば先日、「Sound Inn "S"」で田代万里生さんがこんなことを仰っていました。

 「君の夢の中で」のラスト、"君の夢で(너의 꿈에)"と"生きよう(살고 싶어)"の間に訪れる静寂の一瞬に、わたしは近いものを感じたのだと思います。

 

 

ATEEZには頑張ってほしい(『ACTION TO ANSWER』感想)

は?お前が頑張れエセ評論家*1

前置き

 あけましておめでとうございます。2020年、オリンピックとかいろいろありますけれども、わたしはとにかく、ATEEZの年にします。真剣《マジ》です。

 

 ATEEZとの出会いは去年の夏、プエクで荒んだ心を癒す塗り薬を無意識下に求めていたところに飛び込んできた「illusion」のMVでした。その後は音源や映像が出たらちょこちょこチェックして「いいグループだな」と思う……くらいのじっくりことこと・弱火テンションでぼんやり見ているにとどまっていました。

 

 

『KQ Fellaz 미국 연수기』を見る

 ところがこの年始、「わたし、ATEEZのこと……自分で思ってる以上に好きじゃない?」と急に思い立ち、そういえばこの子たちのパーソナリティを何ひとつ知らないな、とYouTubeで見られるリアリティ『KQ Fellaz 미국 연수기』を見はじめました。

 

▲EP.1 全話日本語字幕もついている

 

 『KQ Fellaz〜』はその名の通り、デビュー前のATEEZがアメリカはLAで武者修行する様子をカメラにおさめたもの。19エピソードありますが、まさかの1エピソード2〜5分で終わるのですぐに完走できます。LAを満喫したり練習したりオリジナル曲を制作したり、とにかくずっとメンバーがみんな明るく楽しく健やかにいてくれて、それだけで泣ける。アイドル、健やかであれ。ビジュアルがジャックナイフくらいの切れ味のATEEZが多少おぼこさが残るすっぴんなのもポイントです。サンくんのすっぴんが死ぬほどかわいくて……しかも芝犬のぬいぐるみを持ち歩くって、そんなのかわいすぎるでしょう。

 

 そう、わたしはATEEZならサンくんが好きかな、と思っていました。いや、現在進行形で好きなんですが、リアリティを経たいま、リーダー・ホンジュンが愛しくてたまらない。彼は楽曲制作までおこなっていて、『KQ Fellaz〜』で制作していた曲・「From」は彼の手によるものです。LAゆきの飛行機内でもずっと作業、練習後深夜まで作業、いつ寝てるんだというくらい作業作業作業、で制作していたのにまさかのPCが盗まれて(なぜ……)手元に戻ってきたときにはデータが消えてしまい……という散々な展開なのに腐らずにまた作業。レコーディングでも指揮をとる。弱冠ハタチでめっちゃ仕事してて偉すぎる……ホンジュン偉すぎる……って泣いてたら番組終了しました。そして晴れてホンジュンペン、爆誕。そもそもビジュアルが一番好きです。

 

▲KQ Fellaz「From」

 

 というわけで、いまはATEEZとしてデビューした後のリアリティ『ATEEZ WANTED』を少しずつ見ている途中です。意外とほわほわしてるソンファ先輩、みたいな新発見がありつつ、みんな健やかで本当〜〜にいい。

 

 

そんなATEEZ、1月6日にカムバしました。ここから本題です。

 

TREASURE EPILOGUE:ACTION TO ANSWER

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タイトル曲「ANSWER」

▲タイトル曲「ANSWER」MV

 

 デビュー以来、一貫して“TREASURE”というテーマを掲げてきたATEEZの長旅もこれにて終了。タイトル曲「ANSWER」はMVも歌詞もこれまでの伏線回収+種まきがなされていてオタク心を露骨にくすぐってきます。

 

自らと対峙する

 MVをきっちり見ていけば色々なネタが散りばめられている(はず)ですが、中でもEP2. 『ZERO TO ONE』の「HALA HALA」「Say My Name」MVで登場した黒ずくめのATEEZ(勝手にHALA HALAちゃんと呼んでいます)がカムバックし、ATEEZ同士で杯を交わす場面が印象的。

 

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▲左がATEEZ、右がHALA HALAちゃん

 

 まだTREASUREシリーズについて考えを深められていない(今年中に考えたいな……)ですけれど、今のところはHALA HALAちゃんは彼らの過去のメタファーだと思っています。全身黒ずくめ、目深にかぶったハット、顔を覆うマスク、誰が誰なのかわからない状態で登場し、バックダンサー(と呼んでいいのか?)に紛れながら踊っていた「HALA HALA」、ATEEZとHALA HALAちゃんが対峙する「Say My Name」を合わせて考えたときに、HALA HALAちゃん=過去の彼ら、つまりデビュー前のKQエンタのいち練習生だった彼らがATEEZという名前をつけられ、世間からその名を呼ばれることにより匿名性を脱ぎ捨ててアイドルとしての自我が生まれる、というのがEP2.『ZERO TO ONE』で描かれた物語のように読めます。

▲「HALA HALA」MV

▲「Say My Name」MV

 

 そして今回、改めて自らの過去と対峙したATEEZはこう歌います。

さびしく 苦しく 恐ろしく 怖がっていた過去はもういい 

 この曲が「ANSWER」であることを踏まえると、彼らの長い長い旅は有り体に言えば自分探しの旅だったんだと思います。アイドルとしてのアイデンティティの獲得という意味においての。つまりはATEEZにとってこれが本来のはじまりであり、彼らの真の誕生と門出に対する祝杯が「ANSWER」なのかもしれません。

 

彼らの目指すもの

 ATEEZのこれまでの楽曲群に同じ単語が繰り返し使われているように感じつつも、単純に知っている韓国語だから目につくだけ、ないしはK-POP頻出単語なのかも? と疑っていましたが、意識的に盛り込まれていたと考えてよさそうです。

 

 彼らが繰り返し提示するのは、僕の名前を呼んで/どんな道であっても/共に行こう/そし覚えていて、という真っ向からアイドル→ファンへのメッセージ。今回の「ANSWER」でももちろん歌われています。

 

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燃える太陽と押し寄せた波は 僕らにはたいしたことじゃない

 

 こういう強気なハングリー精神がなによりも愛しいです。コンセプチュアルって加減が難しくて、ともすればイロモノっぽくなってしまうところをATEEZが回避できているのはあくまで地に足がついたテーマを歌っていることが要因なのかもしれません。

 

 今回のゴールドディスクアワードでネクストジェネレーション賞も受賞したことだし(正直この賞がいかほどのものなのかよくわかりませんが)、2020年はATEEZの年になってほしいものです。心身に差し障りのない程度に……。

 

 

▲「Outro:Long Journey」

Look around you.

Did you find your dream?

Did you find your treasure?

Yes, we have finally found it.

Covering us like shining light.

Setting us free like winds coming from above.

Can you see the changes?

Let us continue to hope and yearn.

Though the roaring winds continue to blow, it will not stop us.

We are the history and we will be the one.

Can you hear those voices?

 

*1:

PRODUCE 101 JAPANに熱狂する2019A/W

まえがき

 はと様(はと (@810ibara) | Twitter)主催のアドベントカレンダー「私が動かされたもの」に参加させていただきました!

 

 

 こちらのツイートを拝見して、めちゃめちゃ素敵な企画! と深く考えずに飛びついたものの、既に投稿されている他の参加者の方々の熱量に圧倒され、本当に参加してよかったのだろうか……? と多少怖気づいておりますが、本日12月5日を担当させていただきます、つっこ/ねむ美です。テーマが「私が動かされたもの」ということで、この数か月ハマりにハマっている日プの話をします。これまでも日プの話を散々している当ブログですが、今回は日プ全体に対しての雑感(という名のポエム、通常運転)となる、予定!です。

 

〈PRODUCE 101 JAPAN〉とは

“国民プロデューサー”と呼ばれる視聴者による国民投票で勝ち残ったメンバーがデビューするサバイバルオーディション番組。

音楽専門チャンネル『Mnet』で放送された大ヒットサバイバルオーディション番組。10代、20代の男女に圧倒的な人気を誇る。最初の選考を通過した101名からスタートし、さまざまなミッションに挑戦、 熾烈な競争を争って最終デビューメンバーを選出。すべての過程は、100%“国民プロデューサー”と呼ばれる視聴者による国民投票で勝ち残る者が決定。最終的に勝ち残ったメンバーが、ファイナルグループとしてデビュー。

PRODUCE 101 JAPAN特集 | PRODUCE 101とは?|無料動画|GYAO![ギャオ]

 

 

 〈PRODUCE 101 JAPAN〉——通称・日プの放送が決定したとき、おそらく、あまり期待値は高くなかったように思うのだ。韓国国内外で既に爆発的人気を得ていたサバイバルオーディション番組〈PRODUCE 101〉、通称プデュシリーズの日本版……ということでK-POP界隈での注目度は高かったとはいえ、(数名の個人練習生*1を除いて)参加者が皆事務所でレッスンを受けている本家プデュシリーズとは状況が異なるから。なんせ、日プの応募条件は「事務所無所属」なのだ。かくいうわたしも、「そんなもん国内のかわいい男の子は既にジャニーズとかスターダスト芸能三部とかがもう確保してるだろ」という謎理論を掲げつつ、「そんなに期待はしてないしハマらないだろうけど、まあ一応見ておくか……」くらいの上から目線で臨んだことをよく覚えている。

 

 それがいま、どうだろう。放送日である毎週木曜日は21時までに食事・入浴・就寝準備——ありとあらゆる全てを済ませてPCの前で待機、約2時間の放送をTwitterで実況しながら視聴。放送後も、興奮のまま皆と深夜まで語りつくす。なんならもう一度放送を見返す。数回に一度の順位発表式*2の日には、ハイボールを片手に号泣する……こんなわたしに誰がした? それは紛れもなく、夢に向かって汗と涙を流している練習生たちだ。

 

 

 

いつまでも夢を見てる

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 ▲〈ツカメ~It's coming〉の全体パフォーマンス映像(全練習生の推しカメラもあるよ!)

 

いつまでも夢を見てる
お願い そう言って笑わないで
この道の続き見えるでしょ
君も希望に染まった


ヒーローになりたくて
強さを願ったあの日の気持ち
忘れられるわけないよ
可能性があるのなら

 

 番組のテーマ曲〈ツカメ~It's coming~〉にあるフレーズを、噛みしめながら読む。社会人になってなおアイドルという夢を諦められなかった子*3、周囲に自分の夢を打ち明けられなかった子、様々なバックグラウンドをもつ練習生たちの姿を思い浮かべながら。

 

 ある程度年を重ねると、なんとなく「自分の限界」のようなものを勝手に判断して、「あそこは届かないだろうからここにしておこう」といった思考をするようになってくる。わたしは特にその傾向が早く、強かった。自分が傷つかない楽なルートを瞬時に弾きだす——それ自体が一概に悪いことだとは思わない。だけど、そんな計算がバカバカしくなるくらい、彼らは皆まっすぐに挑もうとする。そこに衒いというものはない。眩しすぎるスポットライトの中で必死に目を凝らし、なにかを掴みとろうとする彼らの姿を、誰がバカにできるというのだろう。「努力は必ず報われる」なんて軽々しく言えないけれど、正直者や努力をしているひとがバカにされるような世界であってはならない、と強く思わされる。世の中いろいろ、本当にいろいろありすぎて途方に暮れてしまいそうになるけれど、アイドルの姿を見ていると、猫背ぎみのわたしの背筋もしゃんと伸びる。生きづらい現実のつらさを癒してくれるのがアイドルであるのと同時に、彼らが傷つかない世界の実現を本気で考えさせてくれるのもまたアイドルなのだ。……という、しらふで口に出すにはすこし気恥ずかしいことも、アイドルに酔っているいまなら言ってしまえる。

 

光はいま誰を照らすの?

 約100名の練習生のうち、デビューを掴みとれるのはたったの11名。これを書いている時点で残留しているのは上位35位圏内の練習生だけで、今夜放送の第11話では、さらに15名の脱落が決定する。彼らの運命を左右するのは、わたしたち国民プロデューサーの1票だ。回を追うごとに好きな子が増えてきて、自分がこれまで投じてきた票の重みにいまさら恐ろしくなっている。もうひとりひとりのことが愛しくなってしまっているというのに、誰かが残れば誰かが落ちてしまう(そういうシステムの番組なんだから仕方ないのはわかっているけれど)。しかも、脱落した子たちは皆、一般人に戻ってしまうのだ。その先どのように進むかは彼ら自身に委ねられている。わたしが一番に応援していた男の子みたいに、いまどこにいるのかすらわからなくなってしまうかもしれない。

 

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▲怨念と化したオタクのお気持ちエントリ(悲)

 

 もしかしたら、この先もう表舞台に立たない子もいるかもしれない。それでも彼らの人生は続いてゆく。それがいち国民プロデューサーのわたしが永遠に知り得ることのない人生だとしても、この数か月間がいい記憶として残っていてくれれば(さびしいけれど)十分だ。それが次の芸能活動へのステップだろうが、就職活動の自己PRだろうが、いつか子供ができたときにに語って聞かせる武勇伝だろうが、なんでもいい。出会うはずがなかっただろうかけがえのない友人を手に入れた、という事実でもいい。もうすこしだけ贅沢を言えば——もし落ち込むことがあったら、たくさん愛された記憶を少しでも思い出してほしい。誰かにとっての光だったことは間違いないのだから。

 

 今夜の第11話放送終了後、最後の投票がはじまる。これですべてが決まる。そう思うと、やはりその責任の重さに茫然としてしまうけれど、わたしはまた、祈るような気持ちで票を投じるのみだ。すべての練習生たちがそれぞれの花道を歩いていけますようにと。

 

関連リンク

 日プ最終回は12月11日(水)19時~TBS系列で生放送されます!!!ぜひご覧ください(がっつりFNS第2夜と被ってるけど)。以下、ちょっと気になるけど……と二の足を踏んでいるひと向けのリンクとちょっとしたご紹介です。

 

第11話予告

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 個人的に好きな子たちが映っていて死にそう*4な今夜の第3回順位発表式の予告。

 

本編および未公開シーン

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 各話ほぼ2時間。平日毎日1話ずつ+休日を潰せば最終話までに駆け抜けられる! 本編だけでもかなりボリュームがあるけれど、本編ではあまり映らないけど未公開シーンではめちゃくちゃ分量がある未公開専科みたいな子がいたり、練習生たちの歩みや関係性がわかったりするので、時間さえ許せば未公開まで全部見るのがおすすめ。

 

時間がないひと向け

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  YouTubeでは本編のハイライトシーンを配信中。パフォーマンスだけ見ることもできるので、ざっと見て気になる子を探すのもいいかもしれません。すべてのパフォーマンス*5に個人の推しカメラがあるよ! 最新のコンセプト評価(第9話、第10話)のパフォーマンスから見ると、推し既に脱落してるやないか~い!という悲しい現象に陥りづらいです。 

 

番組オリジナル楽曲 
It's Coming - Single

It's Coming - Single

  • PRODUCE 101 JAPAN
  • J-Pop
  • ¥255

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PRODUCE 101 JAPAN - 35 Boys 5 Concepts - EP

PRODUCE 101 JAPAN - 35 Boys 5 Concepts - EP

  • PRODUCE 101 JAPAN
  • J-Pop
  • ¥764

music.apple.com

テーマ曲〈ツカメ~It's coming〉とコンセプト評価の5曲がサブスクで聴けます。名曲揃いですが、中でも「やんちゃBOY やんちゃGIRL」はアイドルの文脈で読んだときにどうしようもなく泣けるド名曲。

 

佐野文哉布教エントリ

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 手前味噌ですみません。1pickが脱落してしまったいま、わたしが最も気合を入れて応援している練習生の軌跡をまとめたエントリです。佐野文哉、本当にすごい……すごい人間ですので……。 

 

 めちゃくちゃ蛇足

 韓国では珍しくないファンによる応援広告、日本では権利の絡みがあってなかなか見られません。……が、日プは公式から一部の写真の使用許可が出ている*6ため、有志が駅やSNSで広告を掲出しています。都内だけではなく、練習生たちの出身地へ掲出されていたりもするので、気が向いたときに探してみるとちょっと楽しいかもしれません。

 

*1:事務所に所属せず、自分で歌やダンスの練習をしている練習生のこと

*2:ひとつの課題ごとに執り行われる。次の課題に残れる定員が決まっているため、圏外となった練習生はその時点で脱落となる。

*3:仕事を辞めて参加した子も多々いる

*4:脱落者は順位発表式で分量が多くなる法則があったりなかったりするため

*5:テーマ曲、ポジションバトル、グループバトル、コンセプトバトル。レベル分けにはないです。

*6:2019年12月31日まで

PRODUCE 101 JAPANのダークホース、佐野文哉練習生布教エントリー

 

このエントリーは、

  • 佐野文哉という存在を知らしめたい!
  • 佐野文哉を見てくれ!
  • 富士山は佐野文哉のもの!

という気持ち100%で構成されています。

 

目次

 

  

そもそも佐野文哉って誰?

 

———あなたは、佐野文哉を知っていますか?
……なんて、宗教勧誘まがいの文句を言わせてしまうのが、PRODUCE 101 JAPAN(通称・日プ)練習生・佐野文哉である。第3回順位発表式に向けて、彼の魅力を1人でも多くのひとに知ってもらうべく、このエントリーを書いている。

 

プロフィール


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▲(左)公式プロフィールの宣材写真/(右)佐野文哉近影

 

なんで?

と言いたくなるが、同一人物である。

 

 

生年月日 1997年5月25日
身長 171cm
体重 54kg
血液型 B型
出身・国籍 山梨県・日本
趣味 曲探し、映画
特技 ダンス、長距離走、空手

▲公式プロフィール*1より引用

 

 順位変動

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 初回94位とスタートこそ低調だったものの、その独特の存在感とパフォーマンスへの姿勢で多くの国民プロデューサーの心を掌握し、徐々に順位をあげつつある。順位発表式では毎度ギリギリの滑り込み(60位中57位、35位中34位)を見せている。

  2pick投票へと切り替わった今回、順位が爆上がりしたとはいえ、次回のカットラインである20位圏内にはまだ入っていない。

 

どんなひとなの?

 佐野をあらわすキーワードを挙げるなら、「謎」「対比」「成長」「ギャ 

ップ」の4つだろう。

 

 佐野文哉のファーストインプレッション、それは「謎の男」。

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▲1分PRで味わい深い絵を披露する佐野

 

 佐野文哉という存在が披露されたこの1分PR動画。なぜか「みなさん、富士山は静岡県山梨県、どちらのものだと思いますか?」と非常にセンシティブな問題を投げかけ、視聴者を混乱に陥れた。インターネット上のざわつきを察知したのか、第2回mystaコラボ動画*2において「富士山問題ですか?……それは、ちょっとまた今度でお願いします」と言及。政治性の強い話題のため、あくまで名言を避ける方針のようだ。

 ちなみに、絶妙にぎこちないしゃべりは滑舌の悪さを気にして聞き取りやすくしゃべっているからだということも判明した。*3

 

対比と成長

 常に誰かとの対比が描かれ、さらに自身の殻とも向き合うことになる佐野。その軌跡を追いつつ、佐野が番組中に披露したパフォーマンスを紹介する。

 

対 川尻蓮(ポジション評価)

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 番組テーマ曲〈ツカメ〉センターを務め、練習生の中でも信頼の厚い川尻蓮が指名した1組と対峙する2組を引っ張ることとなった佐野。ポジション評価全体として、2組は「選ばれなかった」ことによる士気の低下が見られがちな中、佐野は「蓮くんからの挑戦状」「僕を敵に回したことを後悔するように*4と強気の姿勢を見せた。バックダンサーとしてもともと交流があった川尻と佐野。川尻は「佐野のつくるものを見てみたい」という理由で指名しなかったのだと語っており、戦隊もののレッドとブラックのようでアツいと(わたしの中で)話題に。

 1組に比べ、技術面では少し遅れをとっていた2組。佐野が中心となって構成を考えるものの、トレーナー・WARNERから「技術に表現力がともなっていない」と指摘を受けてしまう。表現力を高めるため練習に励む佐野。さらに、同チームの福地正の提案により、振りをオリジナルのものに変更することになる。時間が迫る中、オリジナルの振りで勝負に出ることにした2組。

 

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▲〈HIGHLIGHT〉2組のパフォーマンス

 

 2組の奮闘にもかかわらず、結果は317票対72票と大敗、個人順位も佐野は7位に終わる。自身の順位については「むちゃくちゃ悔しいですけど、それが現実なのかな」、勝敗については「もっと僅差の戦いを思い描いてたんですけど、結構圧倒的な差だったのでめちゃくちゃ悔しかった」と悔しさを滲ませながらも川尻とハグを交わし互いを称えあう姿は、〈富士山領土問題謎男〉という印象をひっくり返すのに十分であった。

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 ▲表情づくりを意識していることがわかる佐野の推しカメラ

 

対 今西正彦(グループ評価)

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 グループ評価では、安藤誠明がチョイスしたメンバーとともに東方神起〈Why?(Keep Your Head Down)〉を披露することとなった佐野。2名でパフォーマンスするものを今西とともに6名用に構成しなおすことになったが、今西との連携がうまくいっていないことをセンターの白岩から指摘され、目が泳ぐ佐野*5。番組内では今西と佐野の対立構図を煽るかたちになってはいたが、対立しているというよりはスタイルの違いと距離感のはかり方だったと思う。白岩のナイス指摘により今西と佐野の連携も密になり、円滑に進行する〈Why?〉班。

 しかし、ここでも自分の壁と直面する。ボイストレーナー・菅井から振りが規則正しく入っているがゆえに歌が乗り切っていないことを指摘される佐野。リハでも菅井から「思いっきりやらないと今までの佐野とさよならできない」と指摘を受けるが、続く「自分を破壊するようにやってみて。間違えても10万票入ります」という言葉からは、菅井が佐野の成長と秘めたるポテンシャルを評価しているようすが読み取れる。

 

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▲〈Why?(Keep Your Head Down)〉のパフォーマンス

 

 〈Why?〉班はSNSで確認する限り視聴者からの反応も上々であり、グループ1位も狙えるのではないか、と言われていたものの、3位という結果に終わる。しかし、プロフェッショナルのクリエイティブの現場に入り込んでしまったかのような制作過程を見せてくれた〈Why?〉班の面々は最高だったということは確かだ。バランスがよすぎる。招集した安藤誠明はほぼ軍師。

 佐野はここでもグループ内3位という中間位に終わるが、このあたりから明らかに佐野を応援する声が大きくなったように感じる。

 

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▲今までの佐野とさよならした佐野の推しカメラ

 

 

対 本田康祐(コンセプト評価)

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 コンセプト評価で〈Black Out〉を披露することになった佐野。ポジション決めではヒチョンの後押しもあり、挑戦したいパートはどんどん挑戦していくことに。メインボーカルやセンターに手を挙げた佐野のようすから、(惜しくも選ばれなかったものの)明らかに歌や表現力が格段に伸びていることが見てとれる。

 そして、サブボーカル2を本田と争って勝ち取った佐野だったが、なぜかここで涙を見せる。実はこの2人ももとからの知り合いだったようで、互いへの信頼が厚いからこそ複雑な思いがあったようだ。ちなみに本田はメインボーカル決めの際に「グループとしてパフォーマンスを見たときに佐野文哉が前にいた方が安定すると思う」と言って佐野を推している。そこも踏まえて見るとさらに味わい深い。

 前述の通り、初期と比べ、表現力がかなり伸びた佐野。〈HIGHLIGHT〉で表現力を指摘してきたトレーナーから「表情がよく出るようになった」と褒められ、思わず笑みをこぼしてしまう。嬉しそうでなによりである。

 

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▲〈Black Out〉のパフォーマンス(若干被せ音源のボリュームが気になる……)

 

 コンセプト評価の後半組が未放送のため現場投票の結果はまだわからないが、もはや〈Black Out〉班を愛してしまったオタクが勝手にベネフィットを付与していいレベルの大健闘であった。〈Why?〉班に引き続き、全体的に前向きかつ周りを見ることができるメンバーが揃っていたため、見ていて謎の安心感があり、コンセプトである❝セクシー❞も体現できていた。さらに単純に曲がいい。音源解禁が待ちきれない。

 

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▲意味は判然としないがクセになる佐野のソロパート「ちょっとしたスレ違いでStar」に注目

 

 

 ここまで真剣にこの文章を読んでいるひとには伝わっていると思うが、実は佐野の成長物語は初期から丁寧に描かれているのである。それは、ダンサーとして歩んできた佐野が、アイドルに挑戦するうえで無視できない壁ととことん向き合い、この短期間のプログラムの中でそれを見事に消化したからである。数か月でこれだけの成長を見せた佐野が今後どんな化け物に育っていくのか見届けたくなる——これはもはやオタクの本能だろう。

 

ギャップ

 番組中に圧倒的成長力とパフォーマンスを見せつける佐野文哉。 しかしその素顔は意外にもギャップの宝庫である。

 

 番組の企画である「歩数計ダンスバトル」では(対戦相手の中里空も踊れる人間だというのに)両名スローな動きで0回と1回という史上最低記録の戦いを見せるシュール寄りのユーモアを披露。

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▲テストで及第点ぎりぎりをとるチキンレースをやって遊んでる高学歴大学生っぽい対決

 

 グループ評価の控室では崎陽軒シウマイ弁当を片手にはしゃぐ様子がばっちりカメラに捉えられている。

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▲6:10あたりで割と周りからスルーされている佐野

 

 また、ダンスの技術には自信を持っている様子が本放送でもよく見られたが、それ以外の面については自己評価が低い。

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▲公約でも「101人の中で1番」と言い切るほどダンスに自信を見せる佐野

 

 グループ評価あたりで髪を青く染めた理由が「キャラがない」「ただダンスがうまいだけのイメージ」と言われているから、というものだったり、

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▲1:00あたり~佐野のコメント

 

 まだ注目度が低かった第1回順位発表式前には「絶対僕落ちるから」と吐露していたことを白岩に暴露されていたり、

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▲ついでに白岩から振られてダダ滑りネタもやらされている佐野(なかよし)

 

  初めて国民プロデューサーの前に出た『SUPER C CHANNEL』のイベントでは、「僕のファンいないかもしれない」と漏らしていたりもする。今こうして佐野を応援するファンがあふれている状況をこの頃の佐野に見せてあげたいくらいだ。

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▲7:57~佐野のコメント(何気に後ろにいる白岩)

 

 佐野のファンは熱狂的な印象が強いが、こうしてふとしたところで垣間見える弱さがファンを狂わせているのではないだろうか*6

 

 

 

佐野文哉を応援するには?

  さて、こんなに魅力にあふれた佐野文哉だが、前述の通り、現在生存ライン(20位)より下の21位である。このブログを日プや佐野に興味がないひとが読んでいるかは疑問だが、もし「佐野のこれからを見届けたい」と思ったひとがいれば、Gyaoの公式ページ*7SoftBankのLINEアカウントから佐野に2票を投じてほしい。まああと2回しか投票できないけど……

 


そしてずっと成長を続けている佐野文哉ではあるがツカメの推しカメラがやっぱり最高なんだぜというオタクの主張をして終わります。

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*1:gyao.yahoo.co.jp

*2:アプリ内でしか再生できないためリンクが貼れない……

*3:かわいいかよ

*4:YouTubeのタイトルにも使われていた

*5:かわいい

*6:本当かどうかは知らん

*7:gyao.yahoo.co.jp

ある日目覚めたら、推しが「空想上のいきもの」になっていた――PRODUCE 101 JAPAN練習生、佐々木真生くんのこと

 

 あなたは、推しが「空想上のいきもの」になったことがあるだろうか。わたしはある。つい1週間前の話だ。

 

 11月16日。少し早めに目が覚めたら、推しのTwitterの更新通知が来ていた。虫の知らせというやつか、何となく胸がざわめいた。慌てて通知を開くと、すでに当該ツイートは削除されていた。ついでにアカウントも。急いでInstagramにもアクセスしたが、時すでに遅し。そこにも、もう推しの姿はなかった。

 

 スクリーンショットを撮ってくれていたフォロワーのおかげで、最後のツイートの内容は確認できた。

 

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▲この投稿の前にアイコンを変えててかわいいと思いました

 

 彼らしいな、と思った。自然と涙を流しながらも、いや深夜3時に投稿して消すなよ、と少しだけ笑った。夜行性すぎるだろ。寝ろ。

 

 こうなることは何となく予想がついていた。そもそも、脱落が決定した第2回順位発表式の放送後、「SNS、やらなさそうだよね」と友人と話していたくらいだ*1。ファンダムの中でも、同じような印象を抱いていたひとは多かったんじゃないかと思う。それは彼の性格——といっても放送を見てわたしたちが勝手に想像しているものでしかないけれど——からみて、そんな感じがする、というぼんやりとした印象に加えて、脱落決定後の彼のコメントのこともあった。

 

 

 

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▲5:55~が佐々木真生くんのコメント

 

 「もうどこかで見てもらう機会はないかもしれないですけど、空想上のいきものとして、またかわいがってください」。これまで、自分のためには決して人前で泣かなかった子が、明らかに泣いたあとの顔でそう語っていた。最後まで賢くてやさしい子だな、と思った。今後彼が一般人として生きていくとしても、少なくとも、<日プの練習生として存在した「アイドルの佐々木真生」のことは勝手に愛してもいい>という免罪符をくれたんだ、と受け取ったからだ。

 

 だから、放送後すぐにTwitterInstagramのアカウントが開設されたときは、正直見間違いかと思った。

 

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▲bioがわけわかんないけどかわいいから許す

 

 嬉しさと同時に、あまり更新はしないんだろうな、と思っていたから、その後も他の練習生にリプライをしたり、Instagramのストーリーに投稿したりするのを見るたび、違和感はあった。だけど、もしかしてこれからもたびたび投稿してくれるつもりなのかも、と少しだけ期待をした。

 

 ▲オタク、完全に浮かれポンチである

 

 そんな折に、開設からたった1日でSNSを綺麗さっぱり消してしまったのだ。まさか宣言通り「空想上のいきもの」になってしまうなんて。最後まで彼なりの「アイドルの佐々木真生」を見せようとしてくれたこと、そしてそれがわたしの考えていた「アイドルの佐々木真生」像と完璧に合致していたこと。これだから好きになったんだよなあ、と納得する気持ちと、なんてたちが悪いんだ、と恨む気持ちが混在していて、今も胸のうちはしっちゃかめっちゃかだ。本当は、自分の言葉でファンに感謝を伝える場/ファンがメッセージを伝える場を設けてくれたこと自体がボーナスステージみたいなものだから、それだけでも感謝すべきなんだろうけど、わたしは欲張りだから、一度与えられたものを手放したくないと思ってしまう。身勝手だけど仕方がない。 それくらいは許してくれないと困る。

 

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 「永遠/一生/ずっと好き」なんて、ほとんどの場合はありえない、ということを、身をもって知っている。けれども、こんな風に、勝手に、永遠にされてしまったらどうしようもない。こんなの、呪いみたいなものだ。とびきり愛しくてかわいい呪い。そっちがその気なら、こっちはこっちで絶対に忘れてやらないからな。とはいえ記憶は薄れてしまうし情報は流れていってしまうから、せめてもの抵抗として、インターネットにアーカイブを残そうと思う。後追いで日プを見るひとのために。万が一、彼がふたたび表舞台にあらわれたときのために。そして何より、佐々木真生というアイドルが存在したことを、わたし自身が忘れないために。

 

もしも誰かが、何百万も何百万もある星のうち、たったひとつに咲いている花を愛していたら、その人は星空を見つめるだけで幸せになれる。〈ぼくの花が、あのどこかにある〉って思ってね。

——サン=テグジュペリ星の王子さま

 

 

11/22追記:思った以上にたくさんの方から読まれていたようで、はてなブログのトップに少しの間掲載されていました。なんでわたしがトップに連れていかれてるんだ、逆だよ!

*1:注:PRODUCE 101 JAPAN(通称・日プ)の応募条件は「事務所に所属していないこと」であり、もともと芸能活動をしていなかった子たちもたくさんいる。脱落後に芸能活動をするかどうかはわからない

BATTLE OF TOKYO -ENTER THE Jr.EXILE- の宇宙に触れる

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新たな世代による、新たな時代へ

この世界での、闘いがはじまる

Jr.EXILE世代によるリアルファイト

この闘いの、目撃者となるのは誰だ?

 

 わからない。わかるようでわからない。それがBATTLE OF TOKYO。ザワ*1も見たことだし、ここらでBOTについてしっかり学んでおくことにする。

 

BATTLE OF TOKYO とは?

BATTLE OF TOKYOは、HiGH&LOWに続くLDHが仕掛ける総合エンタテインメント・プロジェクト。

GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICSBALLISTIK BOYZらJr.EXILE世代が中心のプロジェクトで、現実世界と別次元のユニバースに存在するTOKYOとのパラレルワールドで新たな物語が繰り広げられます。

2019年は、4チームによるMusic Videoでのコラボバトル、そして、ライブが開催され、今後はBATTLE OF TOKYOの様々なエンタテインメントが創造されていく今までにない次世代エンタテインメントを展開していきます。

 

Jr.EXILE世代

 Jr.EXILE世代=「EXILEに憧れ、EXILEを夢見てアーティストを目指してきたEXILE TRIBEの新世代」とのこと。GENE以降の世代、というのはなんかわかる。ミーハーでしかない身でも、三代目以前とGENE以降の売り方が違うように感じる。なんとなくアイドル的というか、個々人のキャラクターで売り出したいのかな~~という感じ。三代目だって十分アイドル的ではあるけど、あくまで結果的にそうなった印象。あくまで外野からぼんやり見てる印象でしかないけど……

現実世界と別次元のユニバースに存在するTOKYOとのパラレルワールド

 (余談)LDHってパラレルワールド的なもの大好きじゃない? MVでもしょっちゅう見るような見ないような……。なんでこういうところはオタク寄りの発想になるんだろう。(LDHとヤンキーをつなげるのはいまいちモヤっとするけど)ヤンキー文化とオタク文化、わりと共存しがち。

 

 しかしこれだけ読んでも「どういうこっちゃ!?」となるので、あまり悩まずにMVを見ていこうと思う。

 

MV(全6本)

ROUND1「SHOUT IT OUT」:GENERATIONS vs THE RAMPAGE

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《INTRO》

この宇宙には…決して交わる事のない世界が多重次元郷として構成されている

そう、我々が知らない世界がこの夜空と同じく、星の数ほど存在しているのである

我々の知る世界から近未来「新TOKYO」へ

今宵は、奇しくも流星祭

流星がもたらす引力に、同じ力を持つもの同士は出会い

もたされた波動によって、彼らは覚醒する

現実はどこに? 真実はなにか? 彼らの戦いが始まる

 

 この設定考えた人絶対楽しかったんだろうな。私も一緒に考えたいもん。 「別次元のユニバース」という書きっぷりから単にパラレルワールドだと思ってたけど「我々の知る世界から近未来」だと新TOKYOはこの世界と地続きってことになってしまわない……? 現実のJr.EXILEたちとは別人格っぽいので地続きじゃない別軸の世界なんだとは思うけど。

 

 「SHOOT IT OUT」ではハイローでいう無名街、HUNTER×HUNTERでいう流星街っぽいところに住んでいるROWDY SHOGUN(THE RAMPAGE)のところにMADJESTERS(GENERATIONS)が乗り込んできてバトルが勃発。たぶん踊ってる会場は流星祭の特設ステージ。ここだけ見てるとMADJESTERS完全に悪の侵略者じゃん?ってなるけど最後一緒に踊ってるし単にお祭りに遠征にきただけかもしれない。

 

ROUND2「Dead Or Alive」:THE RAMPAGE vs BALLISTIK BOYZ

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《INTRO》

この世はフェイク…「虚」で溢れている

いつしかそれがリアル…「真実」だと感じてしまう

だからこそ、それぞれが放つアイデンティティ…「個」が唯一の誇りになる

だが、それは理解を待たずに反発する

全ては歴史が示しているように

故に出会ってしまった彼らは、激しく衝突する

 
 えええーーーROWDY SHOGUN、逮捕されてるーーー!?!?!? 宇宙犯罪でも犯したのか!?!?!?と思ったらJIGGY BOYS(BALLISTIK BOYZ)も逮捕されてた。お互いがお互いの居場所を荒らす映像を宇宙警察的な人たち(見るからに怪しい)に見せられて敵対心をあおられてダンスバトルにもつれ込んだけど、ROWDY SHOGUNがそんな悪いことするやつらだと思わない……絶対宇宙警察にはめられたんだ……って思ったけど解決せずに終わってしまった……何……
 

ROUND3「Supersonic」:GENERATIONS vs FANTASTICS

《INTRO》

 出会った彼らに交わす言葉はいらない

 歌い、踊るが彼らの流儀

しかし多重郷では、それらは形を変える

歌うリリックは、銃弾となり剣となり武器となる

踊る身体はその武器を放つ為の魔法の陣

それらを操る者は魔術師となり戦士である

決して交わることない、2つの世界が今…

超音速でシンクロする

 
 そういうことは先に言ってよ!!! って設定がROUND3で明かされました。じゃあこれまでのダンスバトルも歌って踊って楽しい感じじゃなくてめちゃくちゃ不穏な戦いだったんじゃん。びっくりするわ。ASTRO9(FANTASTICS)、大樹くんと世界くらいしかまともに知らなかったけど若俳っぽいフェイスの子がちらほらいてかわいい。ここまでBOTを理解するためにメンバーのことに触れずにきたけど堀夏喜くんがめちゃめちゃかわいいです!
 

ROUND4「SHOCK THE WORLD」:FANTASTICS vs BALLISTIK BOYZ

《INTRO》

永久とは幻惑である

 我々の知る近い未来では、資源が枯渇し

その渇きを満たすものはなく、潤いを求め彷徨う

これはすぐそこにある現実

我々の知らない多重郷では「虚」の魔法陣で飾られた生活空間「電網都市・超TOKYO」に潤いを求める

これはすぐそこにある真実

互いの世界のバラル…

混乱は、バビロニウムとして現れ

彼らを繋げ、魂の火を燃えさせる

 

  そういうことは先に言ってよリターンズ。どうやら「新TOKYO」はディストピアらしい。MV6本が全部同じ世界観のもとにあるのだとするとこれまでの急な宇宙空間みたいなものも「電網都市・超TOKYOです」のひとことで片付けられる。ところで電網都市におけるダンスバトルで受けた身体的ダメージってどうなるんですか? HUNTER×HUNTERだと死ぬんですが……相変わらずASTRO9の顔がかわいい。犬顔のかわいい男の子を探すことに関してはもうLDHの覇権を認めなければならない。
 

ROUND5「MIX IT UP」:THE RAMPAGE vs FANTASTICS

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《INTRO》

「個」は「欲」を纏う

 欲望を秘めたカードを手にした男たち

無限に拡がる「欲」は止められない

それは、欲望が満たされた「超TOKYO」でも同じ

現実の実体がなくなり、欺かれた「個」を尊重する生き方に退屈してくる

多様なカードは選択肢

欲望に突き動かされた男達は、本当に大切なモノを知る為に仕掛けてゆく

 

 

 やばい……これまではノリで乗り越えてきたけど、5本目にして何を言っているのか本格的にわからなくなってきた……でも宗教画みたいなランペ、というかROWDY SHOGUN、めちゃくちゃいいです。急にROWDY SHOGUNみがなくなってしまったけど、これはROWDY SHOGUNと同一ってことでいいんだよね? 将軍どこに行ったの……「SHOOT IT OUT」は現実世界で「MIX IT UP」は超TOKYOなのかな……とかそういう困惑を置いておけば好きなコンセプトのMV。長テーブルと椅子とシャンデリアが出てくるMVは問答無用で高評価。やっぱり堀夏喜くんがかわいいです!

 

ROUND6「BREAK DOWN YA WALLS」:GENERATIONS vs BALLISTIK BOYZ

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 まさかのここにきてイントロダクションがない。もうあの謎イントロがないと物足りなくなってしまったんだから責任を取ってほしい。6本目だからアウトロがあるのかと思ったらそれもなかった。電車が異様なくらい広いんだけど、これも電網都市なのかな……もうわかんないよ……ここで思い出されるROUND1の イントロ、「現実はどこに? 真実はなにか?」。もしかして、私はいま、LDHの掌中にいるのでしょうか。ていうかYouTubeの説明欄には「地下鉄」って書いてあるんだけど明らかに地上を走ってませんでしたか? 新TOKYO、地下都市なの?

 

結論:「BATTLE OF TOKYO」とは?

全部見たけどよくわからん

いや、本当に何もわからなかった。 よくわからないことと、堀夏喜くんがかわいいことだけがわかった。とはいえBOTプロジェクトは長期で展開していくプロジェクトのようだし、これから「わからない」から「わかる」になっていくことを期待してゆるく追っていこうかなと思う。 それまではランペ以降のメンバーの顔と名前を覚える期間にします。

 

*1:映画「HiGH & LOW THE WORST」見てね