夢と現実いったりきたり

宝塚作品視聴記録#2(霧深きエルベのほとり、義経妖狐夢幻桜、CRYSTAL TAKARAZUKA)

 

忘れないうちにどんどん書いていくぞ!

 

霧深きエルベのほとり(星組・2019)

STORY

年に一度のビア祭りの初日を迎えて浮き立つドイツ北部の港町ハンブルグに、貨物船フランクフルト号が帰港する。船を降りた水夫のカール(紅)は、仲間たちと訪れた酒場でマルギット(綺咲)と出会う。カールは家出をしてきたというマルギットと店を抜け出してビア祭りを楽しむ。カールの粗野な振る舞いの奥に見える純粋さに惹かれて、マルギットは恋に落ちる。一方、古都リューネブルクでは、上流階級の青年フロリアン(礼)がマルギットを探していた。マルギットは実は名門シュラック家の長女で、フロリアンはその許嫁だった。エルベ河の畔で一夜を共にしたカールとマルギット。マルギットの持つ本当の優しさを知ったカールは、真剣に彼女を愛するようになり、真面目に彼女に求婚する・・・。

番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ

感想

 脚本はあの菊田一夫演劇賞菊田一夫氏、潤色・演出は上田久美子先生。星組のお芝居を見るのはこれが初めて。すっっっ………ごいよかった。まずオープニングからいいですから。色づかいも衣装も好き。

 カールのように対外的には道化を演じているけれど内に誠実と悲哀を秘めている、というキャラクターは珍しくないし、ストーリーとしてもシンプルなものだったと思う。だから展開としては予想していた通りに進んでいったんですよね。それなのになぜこんなにも泣けるのか。序盤はけっこうカールの芝居のクセが強く、キャラクターとしても決して「かっこいい男性」ではないので、どうなるだろうと思っていたのだけど、結果爆泣きするという……。うっかり紅さんを好きになるの巻。手切金を持ってシュラック邸を後にして、マルギットのピアノを聴きながらひとりごちるカールの台詞(もしも俺が文士だったら)、ヴェロニカに向けて、カールがマルギットへの本心を吐露する場面の良さったらない。

 船の停泊期間だけ港町でかりそめの恋をする、そう謳われる船乗りたちの中で、もっともそのレッテルにふさわしい振る舞いをしているようでいて、その実とても誠実に恋に向き合ってきたカール。マルギットと出会ったときにどうしてあんなに切ない瞳で彼女を見つめているんだろうと不思議だったのだけど、前の恋人であるアンゼリカのこともあって、マルギットに惚れたときもたくさん予防線を張って張って、それでも抗えないくらい惹かれてしまって、という切実な気持ちがあらわれている瞳だったんだなと。

 マルギットが無意識のうちに見せるカール(の職業)を低く見るような態度、しかもそれにマルギットがまるで気づいていないのがかなりえげつないのだけど、それを諌めるフロリアンの存在がまたよい。フロリアンは他者への理解が深くて、深いからこそマルギットとカールを引き裂こうとはしない。前述のようにマルギットを諌めたりもする。カールはマルギットが幸せになるために身を引いたけれど、フロリアンはフロリアンでマルギットの意志と彼らふたりが愛し合っていることを尊重して身を引く。考え方や方法は違えど、マルギットのことを考えて行動しているふたり……。

 

 しょうもないおたくなので七海ひろきさん演じるトビアスの「そんな相手が……(石で水を切る)いるのかい」のところを3回ほど繰り返し再生しました。本当にしょうもないおたく。

 

 

義経妖狐夢幻桜(雪組・2018)

STORY

ヨシツネはかつて天才的軍略で平家を打倒した英雄であったが、その存在を危険視した兄ヨリトモによって陥れられ、追われる身となっていた。あてどない逃避行の末、自分がどこにいるのかもわからなくなっていたある日、ヨシツネはツネと名乗るキツネ憑きの少女と出会う。少女の願いを一つ叶えるという約束と引き換えに、ただ一人の従者ベンケイと共に果てなき雪の隠れ里に誘われていくと、そこは奇妙に文明の進んだ不思議な村だった。村で久しぶりの休息をとったヨシツネ達は再び出発しようとしたが、雪に惑わされ、何度やっても村に戻ってきてしまう。村人たちは、それこそツネの幻術であり、その代わりこの村には無限の安息があると笑うのだった。一方その頃、ヨシツネを追うため村への入口を探すヨリトモの前にもツネが現れ、同じく夢幻の里へと誘っていく・・・。

感想

 朝美さん主演のバウ公演。個人的な問題で注意力散漫な状態で見てしまってほとんど内容が入ってきていないので、また良きタイミングで見られたらいいな……。ビジュアル的にはWeb小説原作の華流ドラマ感があるなと思っていたのだけど、ノリやキャラクター造型は劇団☆新感線っぽさがあった。特にその成分を背負っていたのがエイサイ。演じられていた久城あすさんがうまかったです。ああいうキャラは楽しそうに悪事を働いていればいるほどよい。楽しそうでなにより。

 朝美さんの、すこし眉根を寄せて目を眇めるような表情が特に好きです。美形が顔を歪めるのはいつ何時見てもいい。バウ初主演ということで感極まっていたのか挨拶がしっちゃかめっちゃかになっていたので、ひとりで応援上映を実施しました。

 

CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-(月組・2017)

 引き続き中村暁先生とはあんまり気が合わないと思ってるけど、このショーは嫌いじゃない。なんといっても人形に変えられたオランピアを演じる愛希さんのダンスがすごい。永久保存版。