夢と現実いったりきたり

4月末から見た宝塚作品まとめ

 前回エントリで少し触れたのだけど、絶賛宝塚を学んでいます。

 もともと周囲で宝塚にはまっている人が多かったのもあり、ちょこちょこ劇場に観に行くことはしていたのだけど(たしか雪組凱旋門あたりから)、誰かに熱を上げるとか、贔屓にしたい組があったりとか……の感覚が得られずだったので、自分にはてっきり宝塚の才能がないのかなと思っていたところに急に謎の感情が生まれて困惑……自分で自分がわからない……ということで、この感情の正体と出自を探るために次回公演のチケットを取り、それまでは主にSKY STAGEで直近のタカラヅカを詰め込み学習中です。スカステではなんと一日中タカラヅカの映像が見れるのだ。すごい。世間のニュースよりタカラヅカニュースに詳しくなってしまう。

 

tca-pictures.net

 

 そんなこんなで、スカステとタカラヅカオンデマンド(+NHK BS)で見た宝塚作品を雑な感想とともにまとめていくぞ!!!

 

 

雪組

芝居

ドン・ジュアン(2016)

kageki.hankyu.co.jp

 「絶対好きだよ」「手叩きながら見そう」などとヅカオタの先達からさんざんな言われようだった『ドン・ジュアン』を手はじめに見た。この先嵐に遭おうとも、生田先生のことを愛し抜こうと決めた。*1言わずもがな、ドン・カルロのことが好きでたまらない。「ドン・ジュアンに友人なんていなかった」と言われてもなお、ドン・ジュアンの死後、友よ……と語りかけるドン・カルロからはじまる時点で、そういうね……そこを描きたいんだよね……ってなるじゃん。神への根深い不信によって悪行を重ねるドン・ジュアンにずっと神への信仰と愛を説いてきたドン・カルロが、愛に殉じていったドン・ジュアンのことを「わからない」と回顧してるのが最高ポイント。ということで、〈悪の華〉をiTunesで購入して以来ずっと聴いています。♪違う……違う……違う……間違ってる……

悪の華(Les fleurs du mal)

悪の華(Les fleurs du mal)

 個人的に彩みちるちゃんのことが妙に好きなので、みちるちゃんがヒロインだったのもうれしい。

 

 

壬生義士伝(2019)

 鹿鳴館に集まった人々の回想というかたちで新撰組にいた吉村という男についての話が展開されるのだけど、そのせいで紙芝居みたいになってしまってたのが気になる。吉村はこういう男だった(暗転)回想(暗転)そういえばこういうこともあった(暗転)みたいな。鹿鳴館のシーンで毎度現実に引き戻されてしまうし、そこでいちいち入る小ネタもいまいち笑えなくてなんというか……外国人キャラクターのカタコト表現って必要と思えないし、正直ノイズだなあと思った。

 斎藤一と大野次郎右衛門の感情バトルfeat.全くブレない吉村って感じは見ててちょっと面白くなってきて、基本的にはじめくんの圧倒的攻勢なんだけど(そもそも中盤はじろえの霊圧がない)、最後に手ずからおにぎりを握ったりしてじろえがぐいぐい盛り返してくるから思わず脳内実況しそうになってしまった。大野選手頑張っています。なんなんだ本当に。おもさげながんす。

 朝美さんのはじめくんはやたらオラついててかっこよく、もう朝美絢で宝塚版ミュージカル薄桜鬼*2を上演しなさいという気持ちになりながら見ていた。はじめくんのキャラは薄桜鬼とは随分違うけど……。

 とまあ、脚本/演出は置いておくとして、望海さんや真彩さんの演技と歌はすこぶるよかった。おもさげながんす……(言いたいだけ)。

 

ONCE UPON A TIME IN AMERICA(2020)

 これの前にパッションダムールを見て眞ノ宮るいくん……♡になっていたので眞ノ宮くんの台詞からはじまったことにややウケていました。

 見ながら「これ絶対原作はヌードルスとマックスが主軸でしょ」と思ったら本当にそうらしい。物語としてはそっちの方が自分好みというのもあるけど、ヌードルスとデボラの話に改変したことで(宝塚に持ってくるには必要な改変なんだろうけど)話がちょっとブレてしまってる感は否めない。

 とはいえ、ヌードルスとデボラの対比は好き。同じロウアー・イーストサイドで生まれ育って同じ志を持っているはずのふたりが、真逆の場所で成り上がっていって、だからこそ徹底的に交われないという……。裏社会と関わりを持つヌードルスにデボラはずっとNOを言い続けていて、でもヌードルスはそこ以外でどうやって金を稼いで「皇帝」になればいいのかわからないから抜けられない。デボラの言い分はすごくよくわかるのだけど、自己責任論を感じてしまうところもあり……。こういうのはね、社会が悪いんですよ(急に?)。ヌードルスが少年時代に殺人で服役してることを考えると余計につらい。デボラはヌードルスを受け入れられないし(愛していたとしても)、ヌードルスは生き方を変えることができない。少年少女時代に一度だけ交差して以来ずっとすれ違っていたふたり……。

 マックスがヌードルスから手柄としてもらった懐中時計をずっと持ってるのどうかと思うんですが……あと服役後にサイズぴったりのスーツプレゼントするのとか。対キャロルの挙動を見てても、キャロルはそんなDV男やめときなさいよと思ってしまう(犬のエピソードやばくて 手を叩いて喜んでしまった)んだけど、守ってあげたくなっちゃうんだろうな……それはもう、しょうがないよね。人間と人間のあいだだと、理屈なんてどうでもよくなることあるから。誰?

 本編がめちゃくちゃ好きかと言われたらそうでもないのだけど、フィナーレはめちゃくちゃ好き。男役群舞が最高。という話をしながら友達とフィナーレを見ていたら、「この(彩風)咲奈はつっこちゃんの好きな咲奈やろ」と言われてしまった。正解です。キャロル役の朝美さんはOP(男役)→本編(女役)→フィナーレ(男役)→階段降り(女役)で大変そうだった。男役に女役をあてるのっていまいちよくわからないんだけど、いつかわかる日が来るのだろうか。

 

ソルフェリーノの夜明け(2010)

 彩風さんがこれの新人公演で初主演ということもあって見た。本公演ではイタリア負傷兵で、単独で目立つ場面があるわけではないけど、教会のお手伝いなどをしていてかわいかったのと腰に布を巻いてるせいでウエストマークみたいになって余計に脚が長かった……。

 赤十字思想誕生150周年記念公演ということで、赤十字がどういう思想のもと誕生したのか、というのを描いた作品。若干まんが伝記シリーズっぽさがある。あれ小さいころめちゃくちゃ読んでたんですよ。

 愛原さんって雪組のトップ娘役だったんだ、ということをここで知る。そして彩吹真央さんがかっこいい。

 

仁-JIN-(2012)

 沙央さんがかわいい。印象に残るのは佐分利(沙央さん)と山田くん(彩凪さん)のかけ合い、恭太郎(未涼さん)と龍馬(早霧さん)の相反するふたり。

 過去へのタイムスリップものには必須の「自分が歴史に干渉してしまったら未来はどうなるのか?」というジレンマはあるにはあったけど要素薄めで、どっちかというと南方先生の恋人を救えなかったトラウマ由来の「先人がすでに発見した知識を利用してるだけで本当の自分は大したことがない」という葛藤にフォーカスされてた感じ。タイムスリップしたことより目の前の人命に向き合う南方先生リスペクト。

 巻数のある原作をまとめるとなると仕方ないのかなとは思いつつ、謎の赤子の声の回収が唐突だった気がする。急に龍馬お前だったのか(©︎ごんぎつね)ってなってたけど、なんでわかったんだろう。わたしが流し見だったせいなのかいまいちよくわからなかった。

 彩風さんはふくふく元気のよい小悪党という感じでかわいかったです。齋藤先生×漫画原作ということで今度のCITY HUNTERどうなるかなあという方が気になっている……。

 

ショー

 

Music Revolution(2019)

 先に望海さんサヨナラショーを見ていたので元ネタの曲だ! という感動が。中盤出てくるダイナミックな色づかいのフリフリの衣装、たぶん好き嫌いあると思うんだけど個人的には結構好き。見たのが最初の方だったのと同じ時期に見たのとでMRとドSが混じってしまってるところがあり、彩風さんがかっこよく登場してかっこよく踊る場面があったのはMRだったかドSだったか……どっちもかもしれない。だいたいかっこよく踊っているので。

 

Dramatic"S"!(2017)

 私の愛する人のイニシャルはS〜♪ってトップコンビのおたくも単推しもどっちにも適用できるいい歌詞だな。前述の通りMRと混じってしまってるんだけど、サプールやってたのはこっちのはず。芝居以上にショーは即感想を残しておかないと思い出すきっかけが難しい。

 

パッション・ダムール(2020)

 雪組の下級生中心に出演した専科の凪七さんのコンサートで、見といたほうがいいよ〜と勧められたから見た。すごく好きなコンサートだった……。雪組には素敵な下級生がいっぱいいるんだな〜というのを知れたことも含めて、見れてよかった。

 岡田先生のロマンチック・レビューというシリーズから場面を集めて構成されているのだけど、どの場面も本当に素敵。カテコでお話が出た、岡田先生は「清潔・上品・ロマンチック」をレビューをつくるうえで大切にしている、というのがまさしく体現されていて、「宝塚」を見たぞ! と思えるコンサート。衣装のセンスや色づかいもまるっと好き。革新的な要素はないのかもしれないけど、とにかく大満足した。

 お気に入りの場面はたくさんあるけど、サスペンダーで男役が踊る場面は今度の全国ツアーのル・ポァゾンにもあるとのことなので楽しみ。彩風さんのジゴロ絶対似合うしすでに興奮気味です。コンサート全体的に縣くんがガンガン推されていたけど、ここの縣くんはダンスがうますぎて笑ってしまうという域に達していた。ダンスのことはよくわからないなりに、キメ・静止の仕方が綺麗な人が好きだから縣くんも漏れなく好き。体格からすでに最高ですが。

 あとはやっぱり二幕冒頭のタンゴからのPARADISOが最高。縣くんはもちろんのこと、眞ノ宮くんにメロメロになって繰り返し繰り返し見た。凪七さん・眞ノ宮くん・縣くんの三人が太ストライプの明度違いのスーツというのが、二人が凪七さんの影のようにも見えてグッときた。ジゴロとPARADISOはジャニオタ(特にJr.担)通ってると余計に響くんじゃないかなと思った。

PARADISO

PARADISO

 娘役だと2021年版「さよなら皆様」で選抜されている有栖妃華ちゃんが歌がうまくてかわいくてかわいくてかわいいです。全然名前負けしてない。

さよなら皆様

さよなら皆様

  • 宝塚歌劇団・詩希すみれ、きよら羽龍、有栖妃華、都 優奈、朝木陽彩
  • J-Pop
  • ¥204

 

Greatest HITS!(2016)

 彩風さんならこれを見てほしいと言われていたグレイテストヒッツ。スカステに加入した5月がちょうど稲葉先生のショーの特集が組まれていて何本か見た感じ、稲葉先生とは趣味が合わない予感がする。衣装とか小芝居のセンスが好みではない……。GHはわりと好きな方。ベートーベンの運命をアレンジした曲にのせて望海さんを翻弄する彩風さんのダンスと表情がすごくいい。無邪気に遊ぶ子供みたいで……。目的を果たしたら途端に興味をうしなうとことか。でもやっぱり稲葉先生とは性癖が合わないんだろうなとも思う。

 踊ってる彩風さんを見ていて、自分の傾向として楽しそうに踊る人、首の可動域が広い人が好きだからさもありなん、と思った。

 

GOLD SPARK!-この一瞬を永遠に-(2012)

 中村暁先生のショーも最近見る機会が多い。けど稲葉先生以上に趣味が合わない気がしている。

 ご本人がいい位置にいるからというのは重々承知のうえで、OPの総踊りでは秒で彩風さんを視認できて、48GとJr.とプデュで培った動体視力があってよかったなと思っていたら赤い鳥の場面では全然見つけられなかった。わからん!と匙を投げたところで、真っ白な彩風さんと彩凪さんが銀橋を渡りながら歌いはじめたからびっくりしてベッドから転げ落ちてしまった。彩彩と呼ばれてコンビ扱いされてるのは知ってたけどこういう感じで出てたんだな〜と。階段降り然り。アイドル場面でも彩凪さんとシンメ位置でふくふくニコニコしながら歌って踊ってるのがすごいかわいくて2012年を強く感じた。ここからの積み重ねで今があるんだなというのも……まあ当たり前なんですが。

 音月さんがめちゃくちゃかっこよかったので見ている間ずっと「けいくん」と呼んでいました。

 

花組

芝居

金色の砂漠(2017)

 とりあえず上田久美子作演の芝居を見ろと言われているので素直に見た。「コンサバ見たら手叩きながら床びしょびしょにしそう」という悪口を言われていたのだけど、遠からずという感じだった。「復讐こそ我が恋」って歌詞が本当にいい。わたしは憎しみで繋がっている(少なくとも傍目にはそう見えるし、当人たちもむちゃくちゃになっている)ふたりがものすごく好きなのである。

 タルハーミネとギィの場合、彼らが主人と奴隷という立場である限り世間一般でいうところの「恋」をやるわけにはいかない、という固定観念があるわけで。そんなのバカバカしいって一蹴してしまったら終わりなんだけど、それができないのがあのふたりというか、タルハーミネなんだよな。テオドロスがイスファンの奴隷制度の歪さを指摘しても「そういうもの」だから、って取り合わないあたり、タルハーミネは王族の自分が奴隷に恋することは許されない/自分が許さないけど、だからこそ専属の奴隷という鎖でギィを繋いでおきたかったという無意識があるんじゃないかなと思う。イスファンから遠く離れた金色の砂漠でしかふたりは抱き合えないのだ……だんだん炎の蜃気楼みたいな話になってきたな。

 個人的にはテオドロスのキャラクター造形が好き。ギィを犠牲にしてからは父親と同じく赤い衣装を身にまとうタルハーミネとは対照的に、テオドロスははじめから終わりまで真っ青な豪奢なお召し物。イスファンに染まらないテオドロスを象徴するかのような。あっさり国に帰っていくあたりがテオドロスらしくていい。スタイリッシュにタルハーミネの膝枕にありつく場面がすごい好き。

 そしてシンプルにゴラーズ様に泣く。

 

はいからさんが通る(2017)

 映像は2020年のものだけど。はいからさん、めっちゃよくないですか。そもそも紅緒と少尉みたいなカップリング好きすぎるんだよな……。ラストのキスシーンで少尉が紅緒の手を自分の腰に回させるところにめちゃくちゃ萌えた。

 漫画原作の舞台という意味ではこれも2.5次元に分類されるんだろうけど、不思議とそんな感覚はなく、2.5次元化(というのも変な言葉だが)というより「宝塚化」なんだなと思った。

 紅緒がとても主体的・能動的な人物であったり、劇中でも平塚らいてうへの言及があったり舞台が女性の社会進出が進んだ時代だったり、原作はかなり昔の作品だけど、そういうところに現代の宝塚で上演する意味というか、意図を感じる。

 中学生時分だったら鬼島軍曹が好きすぎただろうな〜と思いながらpixiv百科事典を読んでたら、過去の内容もさることながら結びがなかなかエモーショナルだったのでオススメです。

 

 

ショー

DANCE OLYMPIA(2020)

 一幕が予想してた感じと違って初見時かなり困惑した。とりあえずアキレウス様に萌えればいいのか……? って。他にいろいろ見たあと振り返ってみると稲葉先生っぽいなと思う。

 

EXCITER!2018(2018)

 これは当時観に行った。富山に。なんで? しかも藤井先生と同じ日の観劇だった。当時も楽しかった記憶があるけど、改めて映像を見るとノリノリなショーで問答無用に楽しくなれるから在宅勤務中によく流してる。花組は飛龍つかさくんが本当にかわいいと思っています。チェンジボックスの場面、特にビューティマイティのくだりは本当にバカだなと思うんだけど、クセになってしまう中毒性がある。しかもあんなにバカなのにカッコいいんだよな……。という感じで藤井先生のショーはわりと好き。

 

シャルム!(2019)

 在宅勤務のBGVとして見たから流し見ではあるんだけど、華優希さんがこの世のものとは思えないかわいさで存在しているショー。ピンクのドレスを身に纏って魔法の杖を振りながら舞台を横切っていく姿が驚異的にかわいい。全景ショットになって気づくのだけど、もはや描く軌道、ドレスの裾の動き、というところまでかわいいのである……。

 シャルムの主題歌は各所で耳にしていたので、ようやく本家を聴けて満足。メロディが耳に残るいい曲だと思う。オタクだからなのかショーの主題歌が本当に好きで、もはや主題歌のために見てるところがある。

シャルム!

シャルム!

  • 宝塚歌劇団・明日海りお、華 優希、柚香 光、ほか
  • J-Pop
  • ¥204



宙組

芝居

オーシャンズ11(2019)

 「絶対悲劇的な展開にならない」という確信と安心感を持って見られる明るくて楽しい舞台。真風さんの演技がやたらとトレンディ。真風さんのかっこよさは「かっこいい」というひとつの芸なのだな……。真風さんのこと好きになっちゃった。

 主人公サイドのキャラクターが多い、かつそれぞれ特徴的だから顔見せにはいい演目だなと思う。ミーハーだから和希そらくんが結構好きなのだけど、ライナスはキャラクターが多い中でフォーカスされてて、期待の若手に担わせる役なんだろうな〜という感じ。オーシャンズ11の中でも若いことと偉大な父親へのコンプレックスもあって、ひとりだけごくせんのエピソードみたいになっててかわいい。

 宝塚偏差値がちょっとだけ上がったいま、これまでのキャスト表を見ると、かなり「わかる」配役だった。望海さんのベネディクト、瀬戸さんのフランク・カットンはちょっと見たすぎるので今度花組オーシャンズも見ようと思う(前にBSで放送したとき録画して見てない)。

 

夢千鳥(2021)

 前述の通りの和希そらくんへのミーハー心に加えて、「好きだと思う」って勧められて配信を買って見た。初・バウホール作品。オチで失速した感はあるけど、演出もつくりもすごく好みの作品だった。舞台のセットがシンプルで、これは個人的な好みともマッチしてるし(これは小劇場だからこそというのもあるだろうし、大劇場の舞台装置もそれはそれでいいものです)、それによって転換がただの転換でなく、効果的に機能したのかなと思う。現実と映画の世界(あるいは夢二の現実、または白澤の心象風景)を行き来するからおのずと場転は多くなるけどそれを感じさせず芝居に没入できたからすごい。

 夢二のやってることは本当にクソ男なんだけど、ああいう「かわいそう」が核にあるタイプはどうしてもかわいくて惹かれてしまう人が多いのもわかる。わたしも創作ではすごく好きなので。クソ男……かわいそう……かわいい……が延々とループしてた。わたしはたまきと夢二みたいなカップリングが本当に本当に好きだからタンゴの場面もたまきの怖さにも大興奮だった。夢二が君は異常だ! って言ってたまきから逃げ出すところまで含めていい。

 夢二が「青い鳥」を求め続けたのは幼少期に唯一自分の理解者だった姉の言葉に無意識のうちに縛られていたからで、その思い込みから夢二を解き放つのきっかけになるのが彦乃の父親の言葉ってことだと思うけど、それって『青い鳥』の筋書き通りだし、夢二は自分で『青い鳥』読まなかったのかな? というのがちょっと腑に落ちなかったのだけど、調べてたらメーテルリンクの原著はもう少し違う意味を孕んでる可能性が見えてきたので逆にわたしが『青い鳥』を読もうと思う。

 白澤が夢二が自分のもとを去っていくお葉にかける言葉を書きかえたのは、白澤自身が夢二を追体験することによって、いま自分の掌中にある「青い鳥」の卵を大切にあたためようと思ったから、そして蟻地獄にいる夢二を映画の中では掬い上げてあげようと思ったから、と思うんだけど、わたしはお葉にすがりつく惨めでかわいそうな夢二のことも愛してるんだよな……。急に性癖の話をしてます。

 恥ずかしながら宙組の娘役のことを全然知らなかったのだけど(男役もだけど)、みんなうまいんだなと思った。特に琴乃役の山吹ひばりちゃんのお芝居がすごくよかった。105期て……。これは個人的な問題だけど、夢二と琴乃の駆け落ちの場面でPTSDになった。

 あらゆる趣味が合う予感がしている栗田優香先生もこれがデビュー作ということで、今後の作品は組や出演者にかかわらず観に行っておきたいな〜と思った。

 

リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド(2019)

 なぜか瑠風くんのことが妙に気になっているので見た。これもバウ作品。幕開け即パーシー(鷹翔千空くん)からジョン(瑠風くん)への異常な矢印ソングが飛び出してきて、これジョンが主人公でいいんだよな? って確認した。最初に感じた違和感はある意味では合ってて、終わったあともずっとパーシーのことを考えてる。

 パーシーはキスミンと違って外の世界に触れていたけど、ジョンの前には誰も家に連れてこなかった、ということは、パーシーは「楽園」に招かれる客が殺されることに抵抗を感じていた、ということだと思う。そんなパーシーがなぜジョンを家に招いたのか、というのは劇中で彼自身が「手にかけなければならないとわかっていても、ジョンをひと夏だけでも自分ひとりのものにしたかった」と説明しているし、実際それは本心だと思う。だけど、彼が家督を継ぐために、その通過儀礼としてジョンを殺す必要があったんじゃないか、とも思う。パーシーがそれを意識していたかは別として。ジョンのような存在に惹かれる自分は「楽園」を守るためには邪魔になってしまうから、決別のために。

 パーシーにとってジョンの存在は「知らない方がよかったこと」だったんだろうか? ジョンは貧乏で、だけど魅力に溢れたみんなの憧れで、パーシーの言う「経済」の基準でははかれない存在だった。彼に出会ったことでパーシーは、「楽園」への疑問をより強く確信してしまったんじゃないのか。

 ジョンが結局キスミンの手を取るところがすごく悲しく思える。もしキスミンがいなかったら、ジョンはパーシーの手を引いていただろうか? そしてもしジョンがパーシーの手を引いてくれたとしたら、パーシーは「楽園」を抜け出せたんだろうか。ダイヤモンドの山を捨てて貧乏に生きるという選択ができない人たち、そうやって生まれて生きてきた人たちが口々に祈りを捧げる中、静かに涙を流すパーシーを見ながらそんなことを考えた。

 瑠風くんはとにかく声がよくて、歌もだけど芝居でも声がよく通る。ジョンがキスミンへ呼びかける〈I'm calling you〉は特に瑠風くんの声質に合ってて素敵だった。しかしもう黒塗りは勘弁してくれ……。

I'm calling you

I'm calling you



ショー

ハッスル・メイツ!(2018)

 和希そらくん主演のショー。なんとなく見てたんだけど中盤の小芝居で結構真面目になんなんだ、と思ってしまった。石田先生とは合わないんだなと思うことにした。

 

クラシカル ビジュー(2017)

 真風さんがすごい芸当を披露していた。フィギュアスケートペアで見たことがあるようなリフト。

 

VIVA!FESTA!(2017)

 ネコハジャが流れてきて爆笑してしまった。ネコハジャ大好きなので。正確にはPRODUCE 101 SEASON2の課題曲になってたネコハジャが大好き。高田くんが頑張ってるやつ。

▲セウンが好きなんだけど改めて見ると全然映ってなかった

 ネコハジャ選抜に瑠風くんも和希そらくんもいたのでそこだけ永久リピートしてます。博多座では和希そらくんがセンターを張っていたと耳にしたのでいつか見たい。ひとしきりネコハジャを堪能したあとに冷静になって「なぜ……?」と思うまでがセット。

 

アクアヴィーテ!!~生命の水~(2019)

▲イメージビデオみたいになっててなんだこれ……って気持ちになれるのでオススメ

 シンプルに愛してる……って、真風さんが、真風さんがアタシにそう言ってくれたの。みたいな気持ちになりながら見てしまうし、それが正しい楽しみ方な気がしてくるショー、アクアヴィーテ。途中いきなり私のホストちゃんがはじまるけど許してしまう。やっぱり藤井先生のこと好きなのかもしれない……。

 

月組

ショー

GOLDEN JAZZ(2015)

 これも見たのが前すぎて愛希さんがガッツリ踊る場面(おそらくジャズの起源の場面)と冒頭に朝美さんがドラムを叩いてる場面のことしか覚えていない……やっぱり愛希さん好きだなと思う。

 

星組

ショー

ESTRELLAS(2019)

 これは見たショーの中でも異色で、JPOPやKPOPを多用していたんだけどいまいち選曲が自分の好みと合わず……。

 

 

 こうして並べてみると結構見てる気がするし、組がかなり偏ってるなという感じなんだけど、月組星組は録画してるけどまだ見れてないものが大量にあるので……。見れば見るほど解像度も上がっていくので、どんどん宙組のことを好きになってきています。やっぱり過去の公演だと組替えや退団もあって難しいな〜と思いつつ、『おとめ』を引き引き見てます。

 今後放送するおすすめ作品があれば教えてください。正座して真面目に見るので。

 

*1:ほんまか?

*2:当ブログ調べ・世界一メディアミックスされてるコンテンツ