夢と現実いったりきたり

劇団☆新感線 ゲキ×シネ『髑髏城の七人 Season花』

STORY

 時は天正十八年(1590)。織田信長が死に、豊臣秀吉が天下を治めていたこの頃、都から遠く離れた関東の村々は<天魔王(成河)>率いる関東髑髏党に荒らされていた。

 この日も、とある村が髑髏党の鉄騎兵たちに襲われていたところに傷だらけの<沙霧(清野菜名)>が飛び込んでくる。彼女は、天魔王らの居城・髑髏城の抜け道が記された絵図面を持っていたために追われていたのだ。と、そこに派手な身なりの傾奇者たち・関八州荒武者隊の面々が登場する。先頭に立つのは、頭目の<兵庫(青木崇高)>だ。しかし仲間の<三五(河野まさと)>の裏切りにより、みるみるうちに窮地に陥る荒武者隊。そこへフラリと現れた着流し姿の男が、手にした大きな鉄煙管で鉄騎兵を叩きのめす。男は自らを<捨之介(小栗旬)>と名乗り、沙霧に傷の手当てをさせるため、兵庫と共に関東一の色里“無界の里”へと向かう。

 色里“無界”は宿場も兼ねているため人の出入りも賑やかで、その中には何か事情を隠していそうな怪しげな牢人<狸穴二郎衛門(近藤芳正)>らの姿もある。この色里一と評判の<極楽太夫(りょう)>は、「沙霧をかくまってほしい」という兵庫らの頼みを快く引き受けてくれた。

 その夜。店の裏で再び沙霧は髑髏党に襲われそうになるが、捨之介と“無界の里”の主<蘭兵衛(山本耕史)>がそれを阻む。そこに突然現れる、天魔王。実は捨之介と蘭兵衛と天魔王の三人は、ある時期、共に時間を過ごした間柄だったのだ。南蛮製の鎧と仮面を装着した天魔王には、捨之介の刀も蘭兵衛の短筒も歯が立たない。しかしこの場は、狸穴二郎衛門が間に割って入ったことで難を逃れられた。

 天魔王、そして髑髏党との戦いを覚悟した捨之介は山奥にこもる刀鍛冶<贋鉄斎(古田新太)>を訪ねて、無敵の鎧を叩き斬る刀、必殺の“斬鎧剣”を打ってほしいと頼み込む。

 しかしその頃、蘭兵衛は単身で髑髏城へ行こうとしていた。それに気づき、こっそりと後を追う沙霧。

 捨之介、蘭兵衛、天魔王が抱える深い縁(えにし)とは……。天魔王の謀略を、捨之介たちは阻止することができるのか……。

 

あらすじ長いな!

 

感想

 月のキャスト発表で若手俳優界が色めきたった覚えのある髑髏城、このたびのゲキシネ冬の陣で初入城です! 平間壮一くん出演の上弦の月は絶対見よう〜と思っていたのですが、ここにきて松岡広大くんがかわいくて仕方がなくなってきました。アミューズ所属の小柄で人好きのする身体能力高めな役者が好きなのかもしれない……『ねじまき鳥〜』の稽古場レポートが本当にかわいいんです。

 

▲成河に成河兄ぃ〜て呼びかけてるのとか超かわいい

 

 そんな松岡くんは下弦の月で平間くんと同じ霧丸役。というわけで、月はどっちも見るぞ〜

 

 

 さて、花ドクロの話をします。成河が出ているということで至急品川まで行ってきました。どうでもいいけど品川って駅から出たときの僻地感半端なくないですか。

 

 映画泥棒のあと、間髪入れずにはじまったイントロダクションで「髑髏城って時代物なんだよな」と気づいて構える。食傷気味なのもあるかもだけど、日本の時代物がどうも苦手です。文明開化以降は好きだから和服とか髪型が全然好きじゃないのかもしれません。ただ、髑髏城は時代物っちゃ時代物だけど、苦手意識もなにもかも洗い流してくれる大エンタメだから特に問題ありませんでした。わかりやすい筋書き+気持ちよく派手な演出で、観てて楽しくなれるのが髑髏城のよさ。感触としてはスーパーヒーロータイムが近いです。いや歌舞伎なのはわかってるけど。もしかして特撮が歌舞伎の流れを汲んでるのかも? わたしはどうしても特撮も不得手で完走できた試しがないのだけれど(特撮に限らず、朝ドラとか大河とか長期間やるドラマが全然続かない)、映画や舞台で1本にまとめたものを観るぶんには楽しめるんだな〜と思いました。

 

 筋書きは前述の通りわかりやすいので、難しく考えず、このキャラクターかわいいな〜かっこいいな〜って観られるとっつきやすさもゲキシネという形式にハマってていいな、と思いました。キャラクターも誤解を恐れず言えば定形って感じなんだけど、そこに役者本人の魅力も乗ってくることで没個性にならずみんな魅力的に見えてくる。小栗旬が「三途の川に捨之介!」って見得を切るの良すぎるでしょ。小栗旬、本当にスーパーヒーローでめちゃくちゃかっこよかったんです。小栗旬の持つ魅力があのスーパーヒーロー捨之介に繋がってるんだろうな〜という。一生長髪でいてほしい。

 

 蘭兵衛を山本耕史にやらせるのもあざとすぎてどうかと思う。1幕を観て「あーなるほどこれが鈴木拡樹がやる役ね!理解!」って思ったけど鈴木拡樹が天魔王で廣瀬智紀が蘭兵衛でした。観終わってから「まあそっちだよね、見当違いすみませんでした……」ってステアラ方面に謝った。わたしでも鈴木拡樹は天魔王にキャスティングします。

 

 基本かわいそうな男が好きなはずなのに、そこまで蘭兵衛に感情を抱かずにいるのは兵庫のことが好きすぎるからです。登場時点で「はい兵庫が最終的に一番いい男!!!」ってわかっちゃう青木崇高の魅力が悪い。兵庫と子分たちのことが愛おしすぎて、村焼きに来た蘭兵衛に対してガチ切れそしてガチ泣き。許さん。すでに福士誠治木村了の兵庫が楽しみすぎる。

 

 ところで、pixiv設定みたいなチートアイテムこと南蛮の不思議なお薬の飲ませ方、蘭兵衛には口移し(マイヤーリンクみたいで笑ってしまったんだけど)なのに捨之介にはそうじゃないの、完全に「地」の捨之介を下に見てるのがわかる対比なんですね。薬飲まされる小栗旬はセクシーです。

 

 自分が髑髏城に出るなら絶対に三五一択。あと古田新太は存在が無敵すぎるからよくないと思う。ずるいだろ。