夢と現実いったりきたり

劇団柿喰う客『禁猟区』

@本多劇場

STORY

理不尽極まる無差別殺傷事件が発生した人気商店街「ちぎり通り」!
異常な地元愛を抱く繁盛店の勇者たちは禍々しい厄災に立ち向かう!
劇団「柿喰う客」が年の瀬に放つ新作公演は総勢21名による狂騒劇!
熱き血潮がほとばしるパニック・アクション・エンターテイメント!!

 

感想

 このあとの現場はコンサートだったので、お芝居でいうとこれが2022年ラストでした。柿で始まって*1柿で終わる最高の年! 同じ回を観る人とクリスマスパーティーをしてから本多劇場に向かったら、交通機関の遅れで超・エクストリーム観劇になったことを含めて柿喰う客観劇っぽさがあった気がする。

 肝心の内容については、なんと最前列を引き当ててしまったせいで若干冷静に観れなかったので、詳しいことは改めて全景配信で見直したいのだけど、2022年の締めに足る演目だった。

 わたしは、福井夏さんという俳優の、板の上での圧倒的な存在感、最強とか無敵とかそういう形容が似合う強さが好きなので、破刃禍乱ちゃんが物理的に最強でうれしかった。今回の中心キャラクター・永田紗茅さんとツートップのような扱いで、それが超よかった。

 

 ところで、劇団員が増えてからの柿の本公演って、正直消化し切れていないところがあって。というのも、柿の脚本って劇団員へのあてがきな部分があるので、その人がどういう俳優なのかを理解したうえで観る、もしくは劇中でそれをがっつり感じられないと「普通に面白い」止まりになっちゃうと思ってるんですよね。もう一段階上の「柿を観たぞ!」っていう満足にまでは辿り着いていないような、不完全燃焼感が拭えなかった。自分が柿に求めてるものってそこだから。

 とはいえ『空鉄砲』にはそれがしっかりあったから、自分が新入りメンバーにハマってないのか、もしくは大人数で俳優の個性が出づらい(+自分が2021年入団メンツのことを全然わかっていない)のが要因なのかと思って*2、今回もちょっとハードルを下げてたんだけど、今回はしっかり「柿を観たぞ!」に至れてうれしかった。なにが違ったんだろう……。

 新入りメンバーにもすごく興味が湧いて、観れていなかった『初体験』の配信も見た。こっちもめちゃくちゃ面白かったし(中屋敷さんに「アイドル」って入力すると『初体験』が出力されてくるの!?っていうのも含めて)少人数だからこそ新入りメンバーの俳優としての個性、中屋敷さんが彼らをどう見てるかがじっくり楽しめてより一層愛着が湧いた。みんな芝居上手いな〜。今後も少人数での公演いろいろやってほしい。

 ちなみに、『初体験』は2023年1月22日まで絶賛配信中だから見てない人は見よう!!!→https://t.co/1ZZplpsTCk

 

 ついでに、見れていなかった『八百長デスマッチ』も見た。「女を挟んで友情を深めやがって……」感はあるけど、わたるさん敬三さんが最高なのは言わずもがな、これを穂先くん加藤さんで再現したのがものすごくアツい。

 

 柿の劇団員に関しては(中屋敷さんが「マレビト」と評していたのがしっくりくるので、それ以上の形容をするのが難しいのだけど)もはやひとりひとりが都市伝説的な「現象」のように感じる。でも単に浮世離れしてるってわけじゃなくて、柿の作品のキャラクターって現実には絶対いない超・フィクションの存在だけど、キャラクターたちが舞台上に、そして我々の中に残していく感情は現実以上に生々しくてプリミティブなものだというのが不思議だなあと思う。今回、柿に好きな俳優が増えたのがしみじみうれしい。

 

 ところでおみくじを引いたら敬三さんの大吉で超うれしかったです。字が綺麗〜

 

 

 

*1:『空鉄砲』

*2:宝塚なのか?