夢と現実いったりきたり

薄ミュ黎明録備忘録(2015/06/13)

 

 
 

6月12日ソワレ、京都劇場、ミュージカル薄桜鬼黎明録を観てきました。

原田篇すっ飛ばしてなんで黎明録とか、キャストほぼ一新とか、色んな疑問や不安や不満を抱えたまま、だけど薄ミュの魅力ってキャストだけじゃなくて脚本や演出というところにもあると思うから、わたしはこの公演のチケットを手にした。劇場に入って席に着いてからも、ずっとドキドキしていた。いい意味でも悪い意味でも。結論から言えば、薄ミュは裏切らなかった。芹沢さんの生き様にわたしは泣いた。黎明録は井吹龍之介の成長と、新選組の新たな一歩を描いた物語だけど、その両方のキーマンは芹沢鴨だ。横暴でダーティな彼の振る舞いは新選組内でも煙たがられて、会津の方針もあって最後は仲間から斬られてしまう。だけどそれは彼の一面でしかない。本当にただの横暴者だったら龍之介を助けたりしない。他の隊士の弱さを見抜いて、やり方がどうであれ助言を与えたりしない。彼は自分の先が長くないことを知っていて、自分がいなくなっても新選組が立てるようにあんな振る舞いをしていたんだろう。聡明な人だから。だけどそんな彼の本当の姿をちゃんと理解していたのは一体何人いるんだろう。新八は彼を評価していたけれど、そこまで見抜いていたかは怪しい。やっぱり龍之介だけなんじゃないのかな。だから土方率いる新選組幹部たちが芹沢を斬ってしまったときわたしは悲しくて悔しくて仕方がなかった。でも芹沢はこうなることをある意味で望んでたんだろう。自分があの晩斬られることを知っていた。だから龍之介を宴の席に連れていかなかった。変若水を飲んだのは、本来なら芹沢暗殺という汚名を被る土方らに対して「狂った羅刹を斬った」という免罪符を与えたからなんじゃないかすら思う。

芹沢が死んだあと、龍之介が芹沢の亡霊と会話をするシーンは、現実に即して考えれば、「龍之介の幻覚」として片づけられてしまうけれど、わたしは本当に芹沢の亡霊が現れたんだと信じたい。薄桜鬼はファンタジーなんだから。どんな悲劇だろうと、ファンタジーである限り、最後には救いを求めたい。ずっと犬呼びだった芹沢が最後の最後に龍之介と呼ぶのは、「来るぞ」とわかっていたのに涙がこぼれた。その後龍之介は新選組を見届けて彼らのことを伝える決心をするけれど、その場面はずっと涙でぼやけっぱなしだった。

芹沢鴨という人間に心を奪われすぎて、彼の感想ばかりになってしまったのだけど、もちろん他にも見所はたくさんあった。黎明録ということで、曲はほとんど新規のものだったけれど、M1を聴いたときに「ああ、黎明録は大丈夫だ」と思った。とにかく素敵だったから。記憶力が毛ほどもないので、歌詞も曲も思い出せないけれど、とにかくM1はすごくよかった。それから、唯一(多分)新規じゃない、ヤイサ。新選組新選組になったときに流れる曲(一回目のヤイサではこれまでの歌詞とはガラリと変わっていて、早く歌詞を読みながら聴きたい)。新鮮だったのが、まず山崎パートから始まるところ(記憶があいまいなので間違ってるかも)。龍之介と真っ向からぶつかっていた山崎が、「井吹と出会えてよかった」「新選組のことを伝えてくれ」(ニュアンス)という台詞を残して、絞り出すように歌い始めるシーンは言葉がでなかった。しかもあれは山崎が死ぬシーン、で合ってる(敵の衣装的に)? ヤイサって本当に名曲だ。

総司が近藤土方から本当に大切に思われているけど、その結果子供扱いされていること、斎藤に負けたこと、人を斬ったことがないというハンデ、色んなことに悩んでいた姿とかも、胸に来るものがあった。総司って何気ない所作が見てて面白いんだよなあ。隊服が出来たとき、近藤には「はい、近藤さん♡」って手渡すのに土方が近づいてきたら一瞬土方をじっと見てつんと顔を背けるところとか。ごはんの歌の時のふてくされ加減とか。一番後ろで、一人で不機嫌そうにごはん食べてて、山南さんが近づいてきたら他のところに行っちゃう……みたいな。ごはんの歌のときの斎藤さんはかわいい。

今回三馬鹿は見せ場が多くない印象だったけど、細かい部分で三馬鹿のらしさが出てたと思う。多分、わたしのことを知ってる人からしたら意外だと思うけれど、わたしは平助が結構好きで。みんなと笑ってたいと願っている人。平助が一番ヒーロー気質だと思う。黎明録でも、おかしいと思うことに真っ直ぐに向かっていく姿がすっごいヒーロー! 左之さんは龍之介を槍でしばくところとか、千鶴に対しては絶対しないけど左之さんらしい行動が見られてわたしは嬉しい。槍の使い方めっちゃ上手かったし、ガタイも左之さんな東くん、まさかの同いか一個下かという年齢で、震えた……。新八は新八にしてはすらっとしすぎでは!? とビジュアル見たときに思ってたけど、声は秋人新八よりも男らしさが出てたかなあ。秋人新八、歌い始めると予想外のスウィートボイスだから……。新八ってバカだけどバカじゃなくて、アツくて仲間思いで曲がったことが嫌いな男というのが節々に見られてよかった。

ここまで絶賛しているけれど、もちろんいろんな部分でううん……と思うところはあった。歌は全体的にまだまだだったし(ヒデ方様は除く)、滑舌も不安だったし。一幕は正直歌が詰め込みすぎでは?と思わなくもなかった(歌が安定してなかったのも一因かも)。だけど感動したのは事実だし、このカンパニーがこれから成長してゆく姿を見たい、と思ったので、次作をお願いします。なにとぞ。

 

 

あとは箇条書きで、覚え書きをば。

・輝馬くんの山南さん、いちいち吐息がかっててなんかエロい。スタイルいい

新選組してる山南さん(涙)

・二幕の客席登場、下手側通路がマッキー、上手側通路が祥平

・通路側じゃなかったけどちょうどマッキーが止まる列で死

・カテコ?でよろける猪野くん

・八木邸に行った四人、「説明してくれるおじさんに、今薄桜鬼やってるみたいだから観に行ってみたら?」と言われる(あっちゃん談)

・挨拶を任された廉くん、話を〆られない

・パンフの表紙・裏表紙、端っこに千鶴の着物が!!!!!!!!!(大興奮)

・カテコで出てくるときの祥平くんは世界一かわいい

・ヒデ様に足を向けて寝られない