夢と現実いったりきたり

ブラステ再演みた(2015/4/25)

 

 

薄ミュで橋本祥平氏と出会い、どうしても板の上に立つ彼を観たくて、思い切ってチケットを譲ってもらった。

当日チケットを家に忘れ、大学から一時帰宅し慌ててIMPホールに向かったのだが、残念ながら開演時間に間に合わず、OPが終わるまで待機して入場、というかたちになった。一応「朝日奈家の兄弟がヒロインが家に来て1年記念サプライズパーティーの準備をする」という前提は頭に入れていたため、話にはすっと入れた。しかし、幕が上がるまでの緊張感とか、OPでのドキドキ感とか、そういう気持ち作りをもっとしたかった(走ってきたのと途中入場の罪悪感から別の意味でドキドキしていたけれど)。

ブラステ、色々感想はあるのだけれど、役者や役柄に関して特筆したいと思ったのは、琉生・風斗・祈織・棗の四人だ。

 

琉生について

きっかけはもちろん橋本祥平くんだったのだが、アニメ版ブラコンを数話みた時点で、わたしは琉生を一番推すことはないだろうと思っていた。不思議ちゃんとかふわふわとかフェミニンとか、そういう男性キャラはストライクゾーンの範囲から外れている。結果、ブラステで好きになったのは祈織や風斗や棗だった。しかし、贔屓目はあるにせよ、祥平くんの琉生は素晴らしかった。琉生はキャラクターの性格上、台詞もアクションも少ない。だが、ソファに座って装飾を作っているときの柔らかな笑み、他の兄弟たちが騒いでいるときのきょとんとした表情、顔の向け方や仕草のひとつひとつが間違いなく琉生だったと思う。また、琉生は独特のリズムとアクセントで話すのだが、その再現率も素晴らしかった。祥平くんは琉生をどれだけ研究したんだろう? 彼の並々ならぬ熱意が透けて見えた気がした。

琉生は、ヒロインを“守る”立場なので、ほとんどの時間、ソファに座ってパーティーの成功のために黙々と作業をしていた。ヒロインへの好意からか、周りが見えなくなっている他の兄弟たちと違い、彼はちゃんと周りが見えていたように思う。だからこそ、風斗が抱えるもやもやに気づいたのだろう。そして、祈織が買ってきた天使の輪っかを着けた琉生はまさに天使であった(あれ、誰が着けたんだっけ? GJと言わざるをえない)。

 

風斗について

風斗は家族に対して生意気で、ヒロインよりも年下で、現役アイドル。劇中ではめんどくさそうに雑誌を読んだり、苺をつまみ食いしたり、部屋に戻ってしまったり、中盤まではパーティーに対して非協力的な態度をとっていた。しかし、これは彼がヒロインのことをちゃんと考えているが故抱えたもやもやからきた行動なのである。彼は、ヒロインに対して「恋愛感情」を抱いている兄弟たちが、「家族」として彼女を大切に思っていることを示すパーティーを開くことへの白々しさやエゴのようなものを感じていたのではないだろうか。そして彼自身もヒロインを姉としてではなく、女性として見ているからこそ、パーティーへの積極的参加に複雑な気持ちを抱えていたのではないだろうか。加えて手際の悪い兄弟たちを見て、つい刺々しい言い方、誤解される言い方しかできなかったのではないか。彼は他の兄弟たちに「効率が悪い」と憎まれ口を叩いていたが、ある意味一番愚直で不器用なのは彼自身なのではないかなと思った。好きになったキャラクター。風斗ED見たいなあ。

祈織について

祈織に関しては、恐らく原作のファンだと、許せないという人もいるんだろうなとぼんやり思った(彼の病んでる部分が拡大解釈されて、ギャグ的に使われることが多かったため)。ブラステはコメディに分類されると思うので、祈織の立ち位置は正しかったと思う。ヒロインが痴漢に〜のシーンでコーンを構えたところ、ブレーカーが落ちたシーンで物凄い勢いで十字を切っていたところ、すごく面白かったし、キャラが立っていたと思う。もし祈織が本物の病み具合を発揮していたら成り立たなかったんじゃないだろうか。
EDのダンスで十字架を加えて踊ったり、さりげなくウインクしたり、集合写真でのポーズがすごく格好つけてたり、あそこまでキメられると笑ってしまいそうなものだが、普通にちゃんとかっこよかったから美慎くんはすごい。完全に写メでにこにーポーズしてる人のイメージだったのに……。 素敵でした。

 

棗について

わたしがブラステで一番やられたのは谷口さん演じる棗だった。棗は仕事の都合で皆よりあとからパーティーの準備に携わることになるのだが、誰もいない(本当は椿と梓がキッチンにいる)リビングにきょろきょろしながら入ってきた時点でずるい。ちょっとくたびれた感じが本当にグッとくる。昴にかまいたがる部分とか、三つ子で料理場に立つとき、しっかりしつつもやんちゃな部分が見え隠れする感じとか、好きになるしかないじゃないか、と思う。しかし、棗はずるい男だった。ヒロインへのプレゼントを、皆で買った分以外にも用意しているのは他の兄弟にも言えるのだが、侑介が自分のプレゼントをダシにヒロインの帰りを引き延ばすシーンで、実は、棗は鞄から自分のプレゼントを出すか悩んでいる。たぶん侑介と同じことを考えたのだろうが、結局侑介がなんとかしてくれて、内心ホッとしたに違いない。誤算だったのは侑介と用意していたプレゼントが被っていたことだ。棗EDでは、ヒロインの部屋を訪れた棗が、「用意してたけど、皆からのプレゼントと同じだからいらないよな」と始末が悪そうに微笑む。この笑顔がずるい。ヒロインがプレゼントを受け取ると、さらに「自分の会社が提携しているテーマパークのチケット」を渡す。ペアチケットを渡して一緒に行こうと誘うのかと思いきや、あの男、「社員とその同行者」しか行けないチケットをプレゼントしやがった! どう考えてもずるい。「好き」とか「付き合おう」と言わないままずるずる関係持っていくタイプと同じニオイがする。とりあえず、棗が、そして棗役の谷口さんがとてもとても最高だった。ずるい!

こんなところだろうか。棗に関しては本当にずるくてずるくて、何かのシーンで頬を膨らませていたところとか、わたしを始め女子の大好きな「大人の男の人がかわいい仕草をする」までぶっこんできたのにはもう怒りを覚えるほどに素敵だった。

他の兄弟に関しても、光役の才川くん(弱冠20歳!)はスマートに女言葉を操り、兄弟を焚き付けていたし、要役の小林さんは声がよかった。あっさりしてたので、エロさはあまり感じなかったけど、家族の中の要はあんな感じなのかなと。あまり舞台上にいなかった気がするので残念。右京さん役の未来弥さん、舞台の経験は浅いと聞いたけど、わたしが観に行ったとき声が枯れてて心配だった。右京さん、作中ですぐに携帯がかかってくるのだが、その時のくるっとUターンするのに毎回笑った。椿役の西島さんは、たぶん作中1、2を争う台詞量をあの特徴的な喋りで言うの疲れそうだなあと……。椿、かまってちゃんで落ち着いていられなくて、いらんことしいというキャラで、彼がいると舞台上が賑やかだった。対して、梓はあまりしゃべらなかったなという印象。椿のストッパー役というところ? 金井くんのシルエットが細くて細くて……二次元的なビジュアルだった。そして昴。彼の女性への耐性のなさというか、清く正しくバカって感じが愛おしい。昴のあの(言ってしまうと)童貞くささを絶妙に表現できるのすごい。あまり普段の畠くんを知らないのだが、彼自身も普段からそうなのか?と思ってしまうくらい。たぶん他の兄弟はそれぞれヒロインに個人的なプレゼントを用意してただろうに、用意してないあたりも昴は信用できる男だ。なんか昴の感想が長くなった。侑介については、ブラステの主軸だと思う。お使いを全て間違えるバカさとか、純情さとか、思わず応援したくなる。ソファで前後に揺れる(伝わらなさそう……)仕草とか侑介だー! と思った。そして雅臣、雅臣本当によかった。めちゃめちゃかわいかった。さすが小児科医って感じの笑顔(堺雅人みたい)。かわいかった。弥ちゃんを抱きかかえてるのとか天使画か? 弥は初演の時いなかったのでどうするのかなと思ったけど、違和感はなかった。よく通る声で、かわいいけどちょっとおませな弥、かわいかった。出演者みんなメロメロなのも頷ける。

 

長くなったけど、本編の感想はこんなものかな〜。楽しかったことが伝われば……。カテコで、畠くん、日本語不自由な人だ……! と気づき幸せな気持ちになりました。ダンスのときのファンサも凄まじかったな……。

 

最後に、これは舞台とは関係ないけれど、客席のマナーがちょっといただけなかったなと。飲み物のんだり、喋ったりが周りで目立ったので残念。