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SixTONESの北米進出について――K-POPの事例から考える

 SixTONESのデビューに喜んだのも束の間、私は新たな課題に頭を悩ませている。主に下記報道によって。

 www.nikkansports.com

日本で活動しながら、世界進出も視野に入れる。滝沢氏は「SixTONESは北米、Snow Manはアジア地域での活動も見越して、レコード会社さんを選びました」と明かす。

 

 まさかの北米! ジャニーズで海外展開といえば基本アジアだし、北米という選択にひっくり返って驚いてしまった。同時デビューのSnowManがアジアをターゲットにしているから、同じところを狙っても仕方ないということなのかもしれないけど、ものすごく重い課題を出されたなあ、というのが正直な感想だった。何せ、ジャニーズというかJ-POP自体、北米に輸出されていっていない現状だから。最近ようやくデジタル化への重い腰を上げはじめた事務所が、北米に向けての戦略なんて立てられるのか!? という不安が募る。ということで(?)、世界への輸出が成功しているK-POPの事例を引きながら、SixTONESの北米進出について考えて不安を鎮めたいと思う。

 

 そもそも、事務所として何を基準に「成功」とするかがわからないのだけれど、SixTONES本人の口から語られた夢の中に、「ビルボードに載る」「世界的な活躍」というものがあるので、一旦は「ビルボードへのランクイン、および北米の人々が『SixTONES』を正しく『ストーンズ』と読める」くらいのラインだと思っておく。

 

 「ビルボードへのランクイン」といえば、真っ先に浮かぶのはもちろんBTSのことだ。

www.cinra.net

 

シングルチャートにあたる「Hot 100」ではかつて坂本九(“スキヤキ”)が1位、PSY(“カンナム・スタイル”)が2位を獲得したが、アルバムチャートである「ビルボード200」での1位はアジア圏のアーティストでも史上初だという。非英語圏の言語で作られたアルバムが1位の座に就くのは実に12年ぶりとなる。 

 

 あれだけブランドとして確立しているK-POPでさえ、ビルボード入りはなかなか難しいらしい。日本人でビルボード入りといえば、近年だとピコ太郎の「PPAP」があるけれど、あれはいわゆる「色モノ」だったし、ジャスティンビーバーの拡散による偶発的なヒットだったわけだから、当たり前だけど学ぶべきはBTSのやり方だ。(まあジャスティンビーバーに拡散してもらえたら万々歳だし慎太郎はめちゃくちゃ喜ぶだろうから早くジャスティンに見つけてもらいたいものだけど)

 

 上記記事では、アメリカでBTSが成功した理由として、次の5つを挙げている。

(1)アメリカのメディアの特性を把握し、うまく使った

(2)SNSのグループアカウント運用

(3)トレンドを取り入れたヒップホップベースの楽曲

(4)シンクロダン

(5)楽曲およびメンバーの発言に籠められたメッセージ

 

 もちろん、これらを再現したからといってBTSのように成功をおさめられるとは思わないし、SixTONESに無理にこれらすべてを当てはめる必要があるとも思わない。ただ、学ぶべきことはいくつかある。

 

 まず、(1)米メディアの特性の把握は必須だと思う。知ってもらうとっかかりとして、やはりメディアの力は強い。ジャニーズ事務所に対海外のノウハウがどれだけあるのかわからないから何とも言えないけど。(2)SNSのグループアカウント運用については、このたび開設されたInstagramがどのように運用されるかによると思う。

 

www.instagram.com

 今のところ、スタッフが公式なお知らせをする場所、という感じだけれど、今後メンバーの自撮りや投稿もされていくといいなと思う。山下智久先輩もやってるしさ。それにしても「世界に向けて」という方針がわかりやすく出ているアカウントでどきどきしてしまう……メンバーの投稿も基本的に英語でpostしていく方針であってほしい。

 

 (3)の楽曲については、とにかくLDN Noiseに曲をつくってもらえ!!!という私の願望は置いておいて、ジャニーズって結構いい制作陣に楽曲つくってもらってるしそのあたりは心配ないんじゃない?とか楽観視している。必ずしも「トレンドを取り入れる」必要もないのかなとも思ってるし。

 

realsound.jp

実を言うと、BTSアメリカで人気が出た理由って音楽的にはうまく説明できていない。これまでも色々なK-POPアーティストがアメリカに進出してきていて、ようやく“アジア枠”ができた。そこにBTSが良いタイミングでハマったのではないでしょうか。今までのK-POPアーティストはアメリカにローカライズしようとして、最先端のサウンドを取り入れてうまくいかなかったですが、トレンドを気にせず、自分たちの母国語である韓国語で歌ったらヒットした。

 

 先の記事では「トレンドを取り入れた」とあるけど、こういう意見もあるわけです。SixTONESについても、いい曲つくってるんなら、変にアメリカに合わせたものを出さず、トレンドなんて俺らでつくるぜくらいの気持ちで臨めばいいと思うんです。知らんけど。

hominis.media

 アルバム『MAP OF THE SOUL:PERSONA』に収録された「Boy With Luv feat. Halsey」は、米人気女性アーティスト・Halsey(ホールジー)とコラボした曲で、"24時間で最も再生されたYouTubeビデオ"のギネス記録までも樹立。心地よいグルーヴを生み出した彼女とのパフォーマンスも世界中で注目を集めた要因の一つといえるだろう。

 あとは人気アーティストとのコラボで知名度と話題性をつくるのはベタだけど大事。とはいえ人気アーティストとコラボしてもそのまま売上や知名度につながるとは言い難いのも事実なので(具体的な事例はあげないけど)、話題になったときに彼ら自身にはまってもらえるフックがないと、というところではある。

 

 (4)シンクロダンスは・・・・・・ダンスがそろわないことに定評があるSixTONESK-POPばりのシンクロダンスを求めるのは違う気もするし、売りはそこじゃないよなと思うし。練習は重ねていってほしいけど。そろわないからイコールダンスが下手ってわけでもないし。私は彼らの個々のダンスがかなり好きだから、シンクロダンスとはまた違った魅せ方をすれば彼らの魅力が引き出されるんじゃないかなと思う。

 

 そして(5)メッセージの発信。なんとなく、ここが最難関なのかなと思っている。ひとつは、基本的に彼らの楽曲は外注だということ。もちろん自分で作詞・作曲をすることもあるけれど、それを表題曲として売るわけではないだろうな、と予感している。でも逆に言えば、いい制作陣をつければなんとかなるところではある。間違っても秋●康とかつけなければいいんだけど。ジャニーズ楽曲の歌詞は私はめちゃくちゃ好きだけど、いわゆる誰かの問題に寄り添うような主題を持っているかと言われるとうーん、となるので、そういう方向に行くなら見直しが必要だと思う。

 

 そしてなにより、彼ら自身の価値観のアップデートが必要。ジャニーズ事務所内ってマッチョな価値観がかなり強いと感じていて、飛び出す発言に対してぎょっとすることもたびたびある。幼少期から特殊な環境にどっぷりつかっているからか、単純に日本社会に生きる男の子の標準なのかはわからないけれど。(もちろんSexyZoneのマリウスみたいにそうでない子もいる)日本以上に広いところに発信していくのなら、そういうところまで想像を巡らせたうえでメッセージを伝えてくれたらいいな、と思う。

 

 ところで言語はどうするのだろう。先日JAPONICA STYLEのEnglish ver.のリリックビデオが公開されたところからすると、今後も英語詞で歌っていくのだろうか。反対とまでは言わないけれど、別に日本語のままでもいいんじゃない?とも思う。

 

www.cinra.net

 韓国のアーティストが英語で歌ったのと韓国語で歌ったのを比べると、韓国語の方が聴いていて楽しいなと思いますし、結局のところ無理して英語で歌うよりも、自分たちが得意な韓国語で歌う方がアメリカで受け入れられるのではないでしょうか。

 

 アメリカのチャートで何週にもわたって1位に輝いたルイス・フォンシ、Daddy Yankee、ジャスティン・ビーバーの“Despacito”は、どんな言語で歌われていたとしても曲次第でチャートを制することが可能だと証明しました(ルイス・フォンシ、Daddy Yankeeはプエルトリコ出身。“Despacito”はスペイン語の曲)。

 

 ただ、イコール英語ができなくてもOK、と言いたいわけじゃない。英語は話せないと厳しいと思う。

 

gendai.ismedia.jp

しかし、JYPはピ(Rain)でも北米進出を狙い、2006年、NYのマジソンスクエアガーデンで公演を行っている。だがピ(Rain)は渡米当初あまり英語ができず、テレビ局から出演依頼が殺到したのに「通訳が必要なのか」と撤回され、(その後は英語を覚えてハリウッド映画に出演を果たすまでになったが)滑り出しの苦戦もあって「成功」とまではいかなかった

 (余談だけどこの全4回の連載めっちゃ面白いです)

 

 現時点ではまともに英語で話せるのはジェシーくらいだけど、他のメンバーも準備期間に少しずつでも英語ができるようになったらいいな……こればっかりは人によるしそんなことをする人間が悪いのは当たり前なんだけど、英語ができないからってめちゃくちゃバカにしてくる司会者とか……いるし……。フリートークでの面白さもSixTONESの魅力だと思うから、英語でもバンバン冗談飛ばしあえるくらいになると良さが伝わるのかなあと思う。K-POPでも日本語流暢な人たちめちゃくちゃ面白いし。スーパージュニアとかスーパージュニアとかスーパージュニアとか。

 

 言語の壁、といえば、こういう話もある。

www.businessinsider.jp

 

「V Fansubs」上では言語ごとにファンコミュニティが築かれ、ファンたちは日夜、競うようにして、BTSやほかのアーティストが韓国語で発した内容に字幕をつけているのだ。
なぜV LIVEのファンサブが重要なのか。ひとつにはシンプルにV LIVEが「非英語圏のアーティストがグローバル市場で戦う時、言語の壁をどう超えるか」の答えを提示したことにある。

記者は2010年代初めにスウェーデンに留学していた際、J-POPやアニメ、日本ドラマのファンに多く出会ってきた。彼らが口を揃えて言っていたのは「公式の翻訳が出るのが遅い」という不満だった。 

 

  VLIVEではファンサブ=視聴者がつける字幕が盛んで、それによって非韓国語話者もK-POPアイドルのコンテンツをほとんど時差なく楽しめるようになっている、という話。これに関していえば、これまでやってきたYouTubeは同じ状態になっている。SixTONESの動画は特に海外字幕が多い、と言われていて(他Gを確かめてないからそうらしい、としか言えないけど)過去の動画だと10か国語の字幕がついていた。Jr.チャンネルから独立してアーティストチャンネルを開設したけれど、今後の配信もYouTubeで行うのだとしたらこのあたりはクリアできるのかな。MVやライブ映像を投稿するって説明しかされてないけど。

 

 ファンサブに関連する話でもあるけど、K-POPはファンダムの力がものすごく強いという特徴がある。

realsound.jp

BTSのみがなぜアメリカで成功できたのか?」という点については、K-POPに限らず「男子アイドルファンドム」というものの特性を考慮しなくてはならない。楽曲的アプローチやパフォーマンス、歌詞の共感性などがよく取り上げられるが、これらの点においてBTSが特別に韓国の他のグループと大きく違う点はないと思われる。唯一違う点は、彼らが最初にアメリカメジャーシーンで注目を受けたのは、楽曲やパフォーマンスそのものではなくファンによる投票で決まるソーシャルのアワードだったということだ。

book.asahi.com

K-POPはその意味でも最初からメディア的でした。権威と権利が中心となって動かす旧来の音楽空間がマスメディ的だとすれば、現在のK-POPは誰かに絶対的な権威と権利を託さない状態でファンも一緒に作っていく「ソーシャルメディア的な想像力」とでも言いましょうか。

 

 こういう、ファンダムがアーティストの手助けをする、押し上げていく、という仕組みは、SixTONESは結構有利なんじゃないかと思う。とにかく再生回数や投票に敏感で、それでとることができた仕事も結構あったりして(SixTONESに限らずJr.担全体にそういうところがあるわけだけど)、まさに「ファンがSixTONESを現象に」してきたわけです。この流れをアメリカにも持っていければ未来は明るいかもしれない。

 

 あとはビジュアルやコンセプトの作りこみをしっかりしてくれればあるいは、と思っている。

www.wwdjapan.com

www.wwdjapan.com

 ハイブランドのおべべを着てる自軍や、インスタグラムにコンセプトフォトをpostする自軍を見たいという私の欲望ではあるのだけど、それだけじゃなくて、ビジュアルの持つ説得力ってやっぱりすごいわけだし。私はそれこそK-POPアイドルの衣装・メイク・コンセプトが好きで見てるし。ジャニーズのトンチキ衣装も好きなんだけどさ……ゴリゴリにビジュアルに手間暇かけてほしい。素材はいいんだから!!!頼む!!!最終的にSixTONESにもマスターがついてほしい。ついでに中島健人先輩にも……。

 

 ごちゃごちゃ長々と書いたけど、成功する可能性はあるんだから絶対成功2020だよってことです。ソニーミュージックジャニーズ事務所、頼む!!!TIMEの表紙を飾るSixTONESとかビルボードミュージックアワードで歓声を受けるSixTONESとか、見たい!!!オタクは見たい!!!頼む!!! 

 

(追記)

100万回再生おめでとう!