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花は咲くか?/Dステ「淋しいマグネット」Reds

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 スコットランドの気鋭の劇作家ダクラス・マックスウェルによる珠玉の名作を、日本初上演した。 物語の舞台を日本に置き換え、全役ダブルキャスト、4バージョンで上演。 惹かれあい、傷つけあう4人の若者達の20年間を痛烈に描いた青春群像劇。

 

 

 最近はD-BOYSチャンネルやDVDなどでD-BOYSの舞台ばかり見ている気がします。タイトルからして好きそう! と思ったこの「淋しいマグネット」、大好きでした。

 

 色んなことを考えるけれど、とりあえずざっとした感想を。リューベンが初めて語って聞かせた『空の庭』では、最後に種が残る。その種が芽を出すのか否か、それはわからない。「淋しいマグネット」のラストシーンはこの『空の庭』をなぞったもので、あの後彼らの「種」が芽を出すかどうか、それは私にはわからない。そういう話だった。めちゃくちゃ余談になるけれど、この「種が芽を出すかわからない」というので、映画『青い春』の「先生、咲かない花もあるんじゃないですか?」という台詞を思い出した。ラストの彼らの涙を見ていたら、芽は出るもの、花は咲くもの、って信じたくなってくるけれど、彼らにとって芽が出ること、花が咲くこと、ってなんなんだろう。

 

 結末だけじゃなくて、このお話全体として「わからないこと」ばかりで、いろいろ考えてこうかな、って思うことはあるけれど、確実に「こうだ」と言い切るには不確かすぎる。それは、お話の核になっているリューベンの存在について、私たち観客に与えられる情報が少なすぎるからだと思う。リューベンは19歳で、(おそらく)自死する。しかも、私たちがこの目と耳でリューベンの存在を確認できるのは、9歳で他の3人に出会った時、そして19歳で意を決したように崖の上に立っている時だけ。後はすべて他の3人が語るリューベンの情報しか知り得ない。だからわからない。彼らの語るリューベンの姿は、どれも食い違っている。それは彼らがそれぞれ見て聞いて感じたそれぞれのリューベンだから、そのうちの全てが正しくて正しくないのだと思う。「事実」というのは人の数だけあって、それを正しいとか正しくないとか判断するのはナンセンスなんじゃないかなあ、というのを改めて感じた。だけど、彼らにとっての「事実」は何だったのか? っていうところにはきっとものすごく意味があって、私はそれをできるかぎり読み解いていきたいなと思って、鑑賞後に気づいたことをメモしていたらかなりの量になってしまった。また考えがまとまったらエントリを書けたらいいんだけど、いつになるかはわかりません。Blues見てからかも。

 

 キャラクターとしてはやっぱりトオルを愛しく思う。トオル自身がどう思ってたかはわからないけれど、彼のゴンゾへの執着は愛というか彼のことを好きだったんだろうなと思う。ああいう男が好きで好きでたまらないし、荒木さんのビジュアルも演技もすごく好きだからトオルを偏愛しています。19歳のビジュアル、狂おしいほど好き。

 

 作品としてすごく好きなので、どこかで再演してくれることを望むばかりです。誰にやってほしいかな。