夢と現実いったりきたり

The calling

2月20日(土)HEP HALL


劇団パッチ4期生お披露目公演『Four contacts』企画パートの感想は既に書いたので、芝居パートの感想を。


しかし梅田はあまり行かないので迷います。さすがウメダンジョン。HEP HALLに入ると、ユニバーサルシティを彷彿とさせるセット*1が。真ん中には大きな4!


ちっぽけな街の4人の少年たちは、高校の卒業を間近に控えていた。
もうすぐそれぞれの道を行くが、自分たちの友情は永遠だと信じていた。
しかし遠い夏休みの思い出が、固い絆で結ばれた彼らの未来に影を落とす。
高校生最後の日々を謳歌する彼らの身に、やがて事件は巻き起こる!
青春・友情・UFO!呼び掛ける声を追い求め、目指せファーストコンタクト!
ストーリーはこちら。(公式HPより)

このあらすじを読んで想像していたストーリーと全然違いました。幕が開けると(幕ないけど)荒廃しきった世界が広がっておりまして、食糧も十分になく、ラジオから流れるニュースによれば地球の人口が激減しているとのこと。(「えっ・・・世紀末・・・?」という戸惑い)なぜこうなったのか?をタケルが回想する、という構成です。

タケル・トオル・ユウヒ・ダイゴの4人が軽音楽部*2に所属していて、その演奏を聴いた先生(山浦さん)が「ブライアン・エプスタイン*3になった気分」「演奏は上手い下手じゃなくて、大事なのは心」的なことを伝えたのが、山浦さんから4人への温かいメッセージと思うとちょっと嬉しくなりました。

ボーカルのユウヒが実家のとんかつ屋を継ぐから辞める!と宣言したのをきっかけに、4人の平和な日常が崩壊し始めるわけですが、ここから中盤にかけて、ユウヒの精神状態がヤバい。ユウヒがバンドを辞める理由は、実は「地球が危機に瀕していると伝える声が聞こえる」というものだったのですが、誰にも信じてもらえない。更には、トオルやダイゴが実は宇宙人なのではないか?という猜疑心から、暴走してしまう。暴走の結果、父親を亡くしてしまう・・・という目も当てられない状況に。「嘘じゃないんだ、信じてくれ」と訴えかけたり、信じてもらえなくてカッとなってしまったり、そのことに気づいてすぐ謝ったり、感情の忙しいこと。演じるぶんにはわかりやすいっちゃわかりやすい役柄ですが、体力消耗が激しそう(注目:ゆうひくんの汗の量)。

結局、ユウヒが言っていたことは全部本当で、オリオン座のベテルギウス超新星爆発し、ガンマ線が降り注いでなんやらかんやらで地球に紫外線が降り注ぎ、冒頭の世紀末状態に陥るわけです。ユウヒが聞いた「声」は、実は宇宙人向けの放送だったのですが、なぜそれが人間のユウヒに聞こえたのかは劇中で明かされません。なんでだろう・・・。

ユウヒに宇宙人と疑われたトオルは、本当に宇宙人だったうえに、なんと地球に来てからまだ数年しか経っていなかったことがわかります。回想で小五の夏に4人で先生の尾行をした思い出が語られるのですが、そのときにトオルは一言も喋ってないんですね(気になったので覚えてます)。それはトオルが植え付けた偽の記憶だったから。少しズレた言動*4も、宇宙人だったからでした。トオルは、超新星爆発が起こる前に、「一緒に地球外に逃げよう」とタケルに持ちかけます。なぜタケルなのかというと「小さいから」「いいやつだから」。タケルが腰を抜かして後ずさりしているのに、キラキラした顔で「一緒に逃げよう」とせまるトオル、タケルの「自分だけじゃなくてみんなを助けなければ」という考え方にいまいち共感できないトオル、やっぱりちょっとおかしくて最高だなと思いました。*5でも、なんやかんやで1人で逃げずに地球に残って環境に適応できず弱るトオル、愛おしい。

ユウヒに疑われた人その②のダイゴは、高校卒業後はニューヨークに行くとか言ってて、メガネだしニヒルとか称されてるから勉強できるキャラかと思いきや授業中がっつり寝ているという。昔と性格がガラッと変わったから宇宙人が入れ替わってるんだと言われたり(ユウヒに)、殴られて入院したり(ユウヒに)、割と災難な目にあっている人。病院で「自分は宇宙人だ。一緒に逃げよう」とタケルに持ちかけ、拒否されると「冗談だよ、人は変わるもんなんだよ」と遠い目をするんですが、なんやかんやで本当に宇宙人でした。しかも父親が宇宙の偉い人だった(ボンボン!!!)おかげで、上と掛け合って地球を救ってくれる救世主。おいしいところもっていく。

トオル、ダイゴの両方に「一緒に逃げよう」と持ちかけられるタケルくん、モテモテだな。彼女のみっちゃん*6に振られるのですが、みっちゃんも多分宇宙人だったんでしょうね。宇宙人に好かれる男、タケル。「いいやつ」と評される彼ですが、周りがエキセントリックすぎる感はあります。明言されてはないですが、実質タケルが主人公だと思います。


演技力に関しては、もちろん発展途上だとは思いますが、想像よりよかったです。キャラ的なものもあると思うんですが、ユウヒとタケルが言い合いをして叫ぶ場面が多くて、足し算の印象が強かったので、これからうまく引き算が出来ていけばいいな・・・などと思いました(余談ですが、情緒不安定になったユウヒ、兄と激似でまともに見られませんでした)。

4人の色んな格好が見られるのも良かったです。学ラン、半袖半パンの小五、リーゼント、セーラー服、病院服、とんかつ屋・・・特にゆうひくんとだいごくんはいっぱい衣装替えがあって大変だな!と。リーゼントのときの2人、輝いていた・・・。殴られ役お疲れ様です。納谷くんは納谷くんで、回し蹴りしたり、50人と戦うの本当大変そうだな〜と思いました。

細かい部分で気に入ったのは、「近所の引きこもりが山の模型をつくりだした」という『未知との遭遇』ネタっぽい台詞ですね。SFってあまり見ないジャンルなのですが『未知との遭遇』は見たことがあって。もしかしたら他にも色々SFネタが散りばめられてたのかもしれない。おさびし山はムーミンですよね?


そして何より山浦さんがめちゃくちゃ良かった・・・。他のお芝居も見てみたい!と思いました。素敵です(余談ですがお隣のお姉さんが山浦さんが好きっぽい反応を示していました)。山浦さん、インタビューで半分あてがき、という話をされていたのですが、タケルの主人公気質とか、ダイゴのおいしいところもってく感じとか、なんかめっちゃわかるな・・・と思いました。全体的に世紀末感を漂わせながらも最後は友情で世界が救われる*7という明るい終わり方になっていて、船出の公演にはふさわしいし、山浦さんには頭上がらんな・・・などと思いました。ありがとうございます。


一度しか見られなかったのがちょっと残念。面白かったです。




*1:ユニバーサルシティ駅からUSJまでの間にあるお店の看板の感じ

*2:先生曰く「けいおん!!楽部」

*3:ビートルズのマネージャー

*4:絡んできた不良のリーゼントをみて「ハンチング」とか言う。ちなみに不良はゆうひくんとだいごくん

*5:惜しむらくは舞台中央の低い位置でのお芝居だったので席的にあんまり見えなかったことですね・・・。

*6:ハダカデバネズミ似

*7:セカイ系、オタクだからテンション上がる