夢と現実いったりきたり

RENTを見てきた(10/17マチネ)


ロジャー:堂珍嘉邦
ミミ:sowelu
エンジェル:IVAN
コリンズ:加藤潤一
モーリーン:ソニン

 『RENT』という作品は、「LGBTを扱った有名なミュージカル」ということだけ耳にしており、かねてから観たいな・・・と思っていたところに村井くんの出演決定、ということでチケットをなんとか手にした。前知識を入れるか入れないかで少し悩んだが、所謂「初見の衝撃」を味わえるのは1度きりなのだからその機会を潰すのは勿体無い。開演前にパンフレットでキャラクター名と時代背景だけ頭に入れて臨んだ。結論から言えば「もっとちゃんと知ってからもう1度観たい舞台」だった。

 「LGBTを扱った作品」という理解はこの作品の本質からはズレているのだろうなと思った。『RENT』で描かれているのは単純に「人間」と「愛」だ。ポスターにもアオリとして載っていた「人生を愛で測ろう(measure your life in love)」という文句の通りに、『RENT』の登場人物は愛に生きている。それは決して恋愛至上主義という意味合いでなく、友人への愛や夢への情熱といった「何かを大切に想う気持ち」を持っているということだ。

 わたしが特に好きなのはマークだ。彼はモーリーンに振られた後、他メインキャラクターとは違って「誰かと恋に落ちる」ことはない。彼は傍観者としてカメラを回し続ける。どれだけ楽しそうに皆と歌っていても彼は傍観者であり、彼自身の言葉を借りると、「どこにもいない」。時々、マークがカメラを回し始める合図(これってなんていうんでしょうか?)が入るのだが、これに毎回ぞくぞくした。観客に対する場面説明であると同時に、マークが傍観者であることを忘れかけた頃に再確認させてくるのだ。1幕を見終わった時点で『RENT』は楽しいな・・・と思っていたのだが、どうにもそこが引っかかっていた。クリスマスの夜から皆がそれぞれ様々な出会いを果たすことで成長したり、何かしらの変化を為している中で、唯一変わらないマーク。そんなマークが2幕では傍観者から脱却する。ぐるぐる回るセットの中で、ロジャーと拳を合わせて「1人ではない」と歌う「What You Own」。

 マークがいちばん好きだと言ったが、登場するカップルみんなが魅力的な作品だった。コリンズとエンジェルのカップルはいちばん泣いた。ミミとロジャーが歌っている時、ベッドから舞台中央にエンジェルを運ぶコリンズの姿にまず泣いて、エンジェルが亡くなったあとのミミの台詞で泣いて、2人で歌っていた「I'll cover you」を1人歌うコリンズで泣いた。上の方に現れたエンジェルにも泣いた(なんでこの時は男の子の格好になっていたんだろう?)。近頃涙腺がゆるいのでめちゃくちゃ泣いた。ジョアンヌとモーリーンは泣くより笑う方が多かったけれど、どちらもとても強くて素敵だった。モーリーンちゃん、お尻出してたよ・・・。すごいな! ミミとロジャーは、前の2組が愛だとすると、恋をしていたという印象。「Light My Candle」とかめちゃくちゃかわいい! ただ、ミミがロジャーに惹かれた理由がいまいちわからなくて、最後まで「なんで・・・?」が抜けきらなかった。しかし2人ともかわいい。情緒不安定だけど・・・。

 もう1度観たい作品だったが、どうやら東宝RENTはDVD化されていないらしいのでもう観れないかもしれない。悲しいな・・・。ブロードウェイ版を観てみようと思う。


NO DAY BUT TODAY!とりあえず村井さんはとても楽しそうでよかった。