夢と現実いったりきたり

メサイア鋼ノ章を観てきた(9/20マチネ)

――同じ景色を見たいと望めばいい。

 

 

 

 

 

 

 

噂には聞いていたけれど

すごかったです。観終わったあとは本当に茫然自失というか、頭を殴りつけられて、心を揺すぶられて、現実を受け入れられない状態でした。以下ものすごくネタバレします。憶え違い等々あるかと思いますがご勘弁ください。

 

 

間宮と有賀

 まず、まあ映画*1のキャストが発表された時点でほぼ分かっていたことではありますが、間宮は死んでしまいました。しかも、メサイアである有賀の手によって。間宮は、実はクアンタムキャットという名のテロ組織の一員――コードネーム"ショートヘア"だったのでした*2。かつては「音楽で世界を平和に」「誰もが笑える世界に」と願った少年が、両親をテロ組織に殺され、しかも両親もそんなテロリストと同族だったことを知る。欺瞞に満ちた世界を、愚かな人間を憎み、呪い、それならば全てを焼き尽くしたほうがマシだ、と考え、核テロを行うようになる*3。間宮はワールドリフォーミングの日から自らの戦争が始まった。対して、有賀はその日に生まれ直した。間宮のヴァイオリンの音色によって。この時点で、有賀にとって間宮は救世主、つまりメサイアだったわけです。この事実を頭に入れた上で影青と翡翠を見返したら面白いかもしれません。間宮から有賀への一方通行かと思いきや有賀から存外重ための矢印が伸びていたという(有体に言えば)!「メサイアとして最低限の役割を果たしてくれればそれでいい」という台詞、言外に「間宮は既に俺を救ってくれたのだから」という気持ちが含まれてたりは・・・流石にしないですかね!

 間宮はいつからクアンタムキャットだったのでしょうか。恐らく、自身の両親を殺したテロ組織を探っているうちに堤貴也にたどり着き、彼に接触し、両親の正体を知ったあと、だと思うのですが(サクラになる前だとしたら、チャーチ、身辺調査もうちょっとしっかりしたほうがいいのでは・・・)。間宮はずっと、サクラとクアンタムキャットの間で揺れてたんだろうなあ。でも、間宮がサクラとして生きていく、という可能性はきっとなかったんだと思います。有賀がもっと早くに間宮に救われた旨を打ち明けていれば別だったかもしれないですが。間宮はもう、自分でも制御できないところまで来ていた。有賀に撃たれる、という最期はとても哀しいけれど、同時にとても美しかった。彼の魂がようやく救われ、解放された瞬間でした。間宮はもう誰の事も恨まなくていいし、殺めなくていい。自分を殺して、と有賀に頼むのは、あまりにも自分勝手で残酷だ、という気持ちは否めませんが、サクラを救えるのはメサイアだけなので――ここでようやく二人はメサイアになれたのかな。暗転後の有賀の慟哭が本当によかった。鋼では有賀の感情がたくさん出ていて、「暗殺者」としてではなく、「サクラ」として生き始めたのだなと。それは、間宮との関係を築こうとしていたということなので本当に辛かったけれど。拷問部屋で淮斗に語りかけるシーンの柔らかな表情が一番好きです。今までの有賀には無かった表情ですよね*4

 間宮が「自分のヴァイオリンの音を聴いて微笑んでいた両親は一体何だったんだ」「この世界は嘘ばかりだ」「穢れている」と吐露するシーンがありましたが、やっぱり「星廉」という名前は「清廉」に由来してるんだろうなあと思いました*5。間宮の両親は手を血に染めたテロリストだったけれど、だったからこそ、息子には穢れのない存在で在ってほしかったのかな。間宮に見せていた穏やかな笑顔は嘘でもなんでもなかったんだよ、きっと、と言ってあげたい。

 そういえば、「間宮とマリアって響きが似てる」という単純な理由から、間宮は聖母のイメージ・・・と前々から思っていたのですが、あながち間違いでもないかもと思い始めました(現に有賀は間宮によって生まれ直した)。

 

 

それぞれの正義

 今回は間宮と有賀の物語ではありましたが、各人の「正義」「殺人」に対する考えが明らかにされていて、しかもそれぞれに少しずつ異なっていたのが面白かったです。個人的には色々悩んだ末に「俺は俺だ」「俺が止めてやる」と圧倒的かっこよさを発揮した三栖さんがよかったです。気がかりなのは護と淮斗ですね。

 護は一番普通に(というと語弊がありますかね?)「人を殺すこと」に迷いがありましたが、志倉さん*6の「鋼の意志を持て」という言葉に後押しされて自らの「正義」を貫く覚悟を決めました。最後に窪寺教授を撃つシーンでは、護の目に迷いはありませんでした。「吹っ切れたんだな」と彼の成長を喜ぶより先に、「将来暴走してしまうのでは」と不安を抱いたのはわたしだけでしょうか。支倉さんの言葉は、心強くはあるけれど、一歩間違えれば呪縛となって護を苦しめてしまうんじゃないかな。

 淮斗は護は正義の味方だと信じていて、その「正義の味方」を守るのが自分の生きる理由だと言っていました。怖いなあ。というか鋼は全体的に淮斗が本当に怖い!!!有賀がスパイだと早とちりした時のキレ加減といったら。淮斗は人の死に対してナイーヴな側面があるけれど、殺人に対しては案外すんなり順応しているような。それこそ「正義の味方」のため、という理由があるからなんでしょうけど・・・。

 

 

その他

いつきくんがメサイアは必要ない、1人でやる、と言ったのは、彼の性格上もあるでしょうが、間宮と有賀を見てしまったからというのもあるんじゃないかなあと思います

 

淮斗の肩をたたく有賀。この二人の組み合わせは新鮮だけどすごくよかった

有賀の「同じ景色を~」の台詞のあとかな?有賀と間宮が見つめあう所。実際に視線が交差することはあり得ないのに!あの時、二人にだけスポットライトが当たってて、「二人だけの世界」という感がすごかった

 護が淮斗に(心理的に)支えられている描写があって、表面に出ててわかりやすいのは淮斗から護への盲目的ともいえる信仰加減だけど、やっぱりこの二人は共依存的な関係なんだなと思った。怖いところですね。

カテコ挨拶の杉江くん、観客に「どうっしたか?」って問いかけて、わたしたちがもう必死に拍手で答えたのに「そうっすか(笑)」で終わらせたのが最高にいつきくんで興奮した。そのあとはチュッパをマイクにしてしゃべり始めたけど、これは東京公演で挨拶した時に染さまから「なんでマイクにしなかったの?」って言われたかららしい。

カテコはけ際恒例(らしい)井澤さんと染さまの寸劇は、井澤さんが両手を広げて待つ→染さまが胸を押す→トリプルで出てきたときに井澤さんが胸を押さえながら出てくる

染さまがはけ際にぴょんぴょんしながら手振るのがめちゃくちゃかわいかった!

高野は癒し

周ちゃんの精神状態がやばそう

 

 

 

しかしすごい舞台でした。収集付かないのでこの辺で終わりにします。この2曲をずっと聴いてます。上が間宮下が有賀っぽくて。

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(追記)

色々思い出した分。

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https://twitter.com/tsukko10/status/645726897695920128

https://twitter.com/tsukko10/status/645727872284360708

 

 

*1:

メサイア 深紅ノ章 | 舞台×映画「メサイア」公式サイト ーただ一人の、俺の救い人ー

*2:何てことだ

*3:何てことだ・・・

*4:あとこの時に改めて井澤さん脚なっげ~~!と思いました。メサイアコートだと隠れるので。

*5:ギリシア神話のセイレーンにも音似てますよね・・・

*6:10/14 誤字に気づいたので修正しました はせくらって誰だ